Column

県立美里工業高校(沖縄)

2012.04.30

野球部訪問 第63回 県立中部商高校(沖縄)

“緑に囲まれた美里工業校舎”

 この4月から美里工業高野球部の監督に就任した神谷嘉宗監督。2011年春に同校へ赴任したが、一年間は部長を務めた。
 神谷監督といえば、08年の夏に浦添商を率いて、その年の選抜優勝校だった沖縄尚学を沖縄大会決勝戦で破り甲子園出場を決めた。当時のエース伊波翔悟(現・沖縄電力)を擁して、甲子園ではベスト4まで勝ち上がった。
 昨年(2011年)、横浜DeNAベイスターズからドラフト6位で指名を受けた佐村トラヴィス幹久投手も神谷監督の教え子の一人である。
 そんなベテラン・神谷監督が、これまでの指導経験の中で影響を受けたチームがある。

県外遠征で学んだ攻撃型野球

“美里工業高校 神谷監督”

「これまでも赴任した高校で、関東遠征へ行きはじめて13年ぐらいになりますね。その前は九州にも行っていたのですが、(神奈川の)藤嶺藤沢さんが何度か沖縄に遠征で来てくれた影響もあって、それから私も関東への遠征をするようになりました」

 関東遠征では、毎年夏に藤嶺藤沢をはじめ、横浜など多くの強豪校と練習試合をして帰ってくる。洗練されたイメージがある関東地区の中でも、やはり前述した2校の野球には驚かされることが多かったという。

横浜は色んな仕掛けをしてくるんですよね。相手の弱点を突いてくるといったことを徹底してくる。個々の能力が高いのもあるけど、あの強さはそれだけじゃない。走塁の切り替えしや、各塁のランナーの走路、牽制の仕方、ポジショニングなど、当時の沖縄野球はそういう細かさは無かった。
そういった細かい野球は、神奈川に行くようになってから勉強しましたね。あれは弱者の兵法なんですね。藤嶺藤沢の場合は、足をいかに絡めてゴロで進めるのかとか、正攻法ではなく、奇襲戦法。相手からすると、それに惑わされないような野球をやれればいいんですが、意外とあの野球に引っ掛かってしまう。横浜は王道野球をやりながらも弱いところをついてくる。そういうところはやっぱり徹底されていましたね」

 県外とのチームと対戦する中で、神谷監督はそれをどう自身の指導につなげていったのか。
「まず攻撃面では、積極的に走塁のスピードを追及していきました。あとは、やはり打てないとダメ。とにかく積極的に攻めることですね。
結局、攻撃というのは自分で判断しないといけないんですよね。だからそれを養っていく。要するに、この子たちの持ち味をいかに生かすかということになるから、やりたいようにやれと。盗塁にしても、選手自身の判断で行けたら行く、迷ったら行くという練習をしています。そうしたら積極性が出てくるんですね。アウトになるセーフになると自分で体感することができる。
 例えば、内野ゴロでも全部突っ込む。それを何回もやっているうちにスタートと判断が良くなるんです。だから、どんどん行きなさい、アウトになってもいいからと言っています。迷っても行かなかったら、一生行けないよと伝えていますね」。

[page_break:神谷監督おすすめ!クロスフィットトレーニング]

神谷監督おすすめ!クロスフィットトレーニング

“グラウンド横にトレーニングスペースを作った”

 その教えの通り、神谷監督がこれまで作り上げてきたチームは、高い攻撃力で常に試合の流れを掴んできた。
「生徒たちも、失敗しても怒られないと思ったら、ビクビクせずに、どんどん行きます。スピード感というのはそこから生まれてくると思います。
そういった思い切りのある走塁もそうですし、バッティングでも初球からどんどん打っていくことが大事。そういった姿勢が、選手としての成長につながると思います」

4月のこの日の練習試合でも、美里工業ナインは果敢に塁を狙い続けた。神谷監督が美里工業に赴任して、ちょうど丸1年。そして監督就任は、4月1日からではあるが、すでに神谷監督の教えはチームに深く浸透していた。

 また最近では、「クロスフィット」というトレーニングを練習メニューに取り入れ始めた。
「元々は外国人の海兵隊がやっていたトレーニングで、サーキット形式のもの。体幹が強くなるというのと、回復力が高まるんです。毎日どこかの筋肉をいじめて、15分~30分の短時間で集中して色んな種目をやります。そのメニューは毎日違うんですよ。これをトータルで30分~1時間だけ。週4回のペースでやっています」
 このクロスフィットのメリットは、トレーニングに飽きがこないところ。
「仲間と競争的にやるので飽きないというか、嫌にならない。きついけど楽しくなります。水泳のロクテという背泳の世界チャンピオンの選手も、このトレーニングをしていました。これから高校野球界でも広まっていくトレーニングだと思いますよ」
 このトレーニングに合わせて、練習後は毎日豆乳の摂取も欠かさない。

 取捨選択しながらも、良いものを取り入れ、そこに自身のアレンジを加えながら、選手たちの可能性を高めていく神谷監督。 そんな神谷監督率いる美里工業に、この夏は注目したい。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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