試合レポート

愛工大名電vs北照

2011.11.26

愛工大名電vs北照 | 高校野球ドットコム

3連投も好投を見せた浜田(愛工大名電)

愛工大名電快勝、自信の決勝進出

 さすがに、11月も最終週のこの時期の野球は寒い。特に、朝夕は気温が下がるし、選手たちもコンディション調整も難しいところであろう。ここへ来て、高校野球のチームがベストの状況で試合に臨むことはなかなか困難ではないだろうか。
愛工大名電の場合も、県大会から東海大会に比べて、状況も違うし、まして主将で攻守の要の佐藤大君を故障で欠いているということもある。だから、倉野光生監督も、「必ずしもベストの状態ではありませんが、神の宿る神宮に野球を学ぶつもりでやってきた」という意識だったと言うが、試合をしながら状態を整えてきたのはさすがだと言っていい。

注目の左腕濱田君は大会が始まって4日間で3連投となったが、初回に1点は失ったものの、この日も安定した投球だった。「濱田は、早い回で点を取られることはあまりないのですが、相手がストレートを狙ってきていて、それが合っていたので、中村(捕手)と相談して、変化球主体に切り替えました」という倉野監督の指示もあって、2回からは投球を切り替えたが、これが功を奏した。

元々、多彩な変化球を持っているのだが、スライダーにシンカー、微妙な変化が相手のタイミングを交わしていた。北照の河上敬也監督も、「もっと、力のストレートで押してくるのかと思っていたのですが、上手に変化球でかわされてしまいました。相手の方が1枚上で、こちらのしたい野球をやらせてもらえませんでした」と、完敗を認めざるを得ないという状態だったという感じである。

 試合は初回にお互いに1点ずつ取り合って始まった。
愛工大名電は内野安打で出た木村君をバントで進め、2死二塁から4番松岡君の中前打で先制。北照はその裏、先頭の佐藤星君が中前打で出ると、捕逸とバントで1死三塁となり、吉田君の左犠飛で同点とした。さらに、4番高山大君が右越三塁打。振り返れば、北照としては、ここでもう一本欲しいところだった。

2回に、愛工大名電は鳥居君が右越三塁打すると、1死後8番濱田君の左犠飛で再び突き放す。3回にも2死後四球の荒木君を一塁に置いて、松岡君が一塁線を破る三塁打で帰して突き放す。4回こそ無死二三塁を逃したものの、5回にも先頭の1番木村君が中越三塁打するとスクイズで加点。さらに、2死一三塁から鳥居君の中前打で追加点を奪い、試合は完全に愛工大名電ペースとなった。


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先発した三浦(北照)

 7回にも愛工大名電は荒木君、松岡君の長短打とワイルドピッチで決定的ともいえる6点目を奪った。
北照は8回に吉田君、高山大君の連打と内野ゴロで1点を返したものの、そこまでだった。
そして、愛工大名電は9回に2死となったところで倉野監督が、「経験を積ませる意味でも投げさせたかったけれど、なかなか機会がなかった」という1年生の左腕東君をマウンドに送ったが、一人だけだがしっかりと押さえた。まさに、自信の快勝といってもいい試合運びだった。

先発して、終始、自分の投球が出来た濱田君は、「スタミナには自信がありますから、あまり気になりませんでした。もちろん、明日も行くつもりです」と、自信をみなぎらせていた。昨秋から、走り込みなどで10kg近く体重を絞り込みながらも、食事そのものは変わらないで、「食う、寝る、走る」ということがスタミナ作りの源だともいう。

明治神宮大会で優勝して、北海道にあとひと枠の思いは実現できなかった北照だったが、河上監督は、「ここで2試合出来たことは何よりの収穫でした。そして、全国では揺さぶりを賭けていく走塁や、もっとコンパクトな打撃が要求されることもわかりました。(3番吉田君や4番高山大君など)1年生が伸び伸びやってくれたことも、来年へ向けての収穫でした」と振り返った。

また、エースナンバーを1年生の大串君に奪われた形になっていた三浦君だったが、2試合に先発して自分の投球をすることは出来たようだ。「下級生にエースナンバーを取られたことは悔しかったけれども、いいライバルが出来たと思えましたし、この大会で、真っすぐにもっと力をつけないといけないと思いましたが、(ある程度投げられたことで)自信にもなりました」と、神宮大会の収穫を語った。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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