開星vs鳥取城北
投打に活躍した森
投打に活躍した森
第44回(平成17年)以降だけをみても6大会中、5度の優勝を飾り、さらに同大会3連覇中という圧倒的な強さを誇る開星が第3試合に登場した。
その王者は、初回からいきなりピンチを迎えていた。
「立ち上がりは最悪でした」という開星の先発・森大樹は、制球が安定せず、2つの四死球と安打で1死満塁。5番・佐藤晃司に犠飛を打たれ、鳥取城北に先制点を奪われた。さらに森は6番・岩越文次朗に四球を与え、2死満塁とさらにピンチを招いていた。
しかし、このピンチを払拭するかのように森はマウンドで開き直った。
「ピンチになったところで内野が声をかけてくれ、切り替えられました」
試合後、そう話したようにその後は、初回の立ち上がりとは別人のように森のピッチングが冴え渡った。
130キロ中盤の重いストレートを軸にスライダー、フォークなどの多彩な変化球が低めに決まり、5回を投げ終えたところで、この日、一塁手を守っていたエース・白根尚貴と交代した。
その白根も順調よく鳥取城北打線をねじ伏せていたが、8回に3連打を含む4安打で3失点を奪われ、再び森が火消し役として9回のマウンドに上がった。
森は、最終回のマウンドも三人でピシャリと締め、6対4で開星が勝ち、明日の準決勝に駒を進めた。
そして試合終了のサイレンが鳴り響いたとき、[stadium]松江市営球場[/stadium]の空を見上げると、まるで前夜から降り続いた雨がウソのように快晴(かいせい)であった。しかし、その快晴とは裏腹にチャンスでのスクイズ失敗など納得がいなかい様子の野々村直通監督の表情は曇りがちだった。
ただ、投げては先発とリリーフで計6回を被安打1、奪三振7に抑え、打っては先制の3ラン本塁打を放った森については「立ち上がりはダメだったけど、森は頑張っていた」と納得いかない試合にも光を見出していたようだった。
(文=アストロ)