Column

札幌琴似工業高等学校(北海道)

2011.02.20

札幌琴似工業高等学校

札幌琴似工業高等学校2011年02月20日

話しを聞く琴似工業の部員たち

もっと上手くなりたい――。
この冬のトレーニング中、選手たちの表情や姿勢から、そんな気持ちが伝わってくる。それは、グラウンドの中でも変わらない。
冨田望監督が2009年に琴似工業に赴任した当初も、今と変わらない雰囲気を選手たちに感じていたという。

「この頃は、夏の札幌予選でも初戦負けが続いていて、選手たちは勝つことに飢えていました。だからこそ、上達したい!上手くなるために色んな知識を吸収したい!という気持ちを持って、向き合ってくれる子が多かったですね」。

これまで冨田監督は、甲子園にも出場しているチームでコーチとして指導に携わってきたが、札幌琴似工業では、前チームと同じレベルを選手たちに求めて指導するわけにはいかなかった。
監督就任当初の琴似工業は、紅白戦をすれば投手陣は1試合で10四死球、野手は20失策を記録。そんなチームに対して、「試合にはエラーはつきもの。だから、まずは無駄な進塁からなくしていくことから始めよう」と、選手たちに伝えていった。
あと1年で最後の夏を迎える2年生部員たちに、野球の基本を一から教えていくだけの時間はない。
そのため、全員で同じテーマに徹底して取り組み、その達成感を味わう経験を積み重ねていくことでチーム力の強化を図っていったのだ。

冨田望監督

また守備以外にも、バッティングにおいては、昨年度は12月から2月までの3ヶ月間で『5万スイング』をチームの目標として掲げ、全員がスイング5万本を達成した。
こうした取り組みから、徐々にチーム力は高まり、昨シーズンの夏の札幌地区予選では、3年ぶりに初戦を突破。
さらに、3回戦の月寒戦では3対2で逆転勝利を収め、選手たちは試合で勝つ喜びと同時に、厳しい練習を頑張ることの意味も知った。
南北海道大会進出をかけた代表決定戦では、白石高校に1対11で敗れたが、1・2年生たちは目の前で勝ち進んでいく先輩たちの姿をみて、『琴似工業野球部』としてのプライドと自信が生まれた夏となった。

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練習後のミーティングの様子

新チームが始まると、いつの間にか「全道大会出場」がチームの合言葉として浸透していた。
全道大会とは、県大会や都大会と同じもので、各地区予選を勝ち上がったチームのみが出場できる大会だ。
しかし、この秋は札幌地区予選初戦で札幌工に1対4で敗戦。

一年前よりも、野球の技術レベルは確実に上がってきているが、冨田監督はまだ当たり前レベルの行動が彼らには足りていないことを感じていた。
「去年の冬は質より量だと思って素振り5万本をテーマにしていましたが、今年は返事強化期間、挨拶期間など、野球の技術以外

でのテーマを設けて全員で取り組んでいます」。

チームで決めたことを、全員で徹底してやり抜くことで強いチームになれるのだと、昨夏の勝ち上がりを経験して部員たちも知っている。
練習後、毎日行われる部員だけのミーティングでは、この日もキャプテンはこんな話しを全員に向けてしている。

「もっとお互いの一言一言に反応しよう。挨拶にしても、今日グラウンドにいらっしゃってくれた方への挨拶も良かったけど、もっといい挨拶ができると思うよ」。
素直に耳を傾け、お互いに意見交換する琴似工業の部員たち。年々レベルアップしていく“チーム力”をこの春、雪が溶けたグラウンドで披露したい。

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【琴似工業を写真で紹介】

【琴似工業高校の校舎】

【雪が積もるグラウンド】

【チームで栄養学も勉強して野球食メニューを考案。】

【頼れる2年生部員たち】

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(文=安田 未由)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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