読売ジャイアンツ 辻内 崇伸選手
第32回 読売ジャイアンツ 辻内 崇伸選手 2009年06月30日
2005年夏、高校野球界の注目は大阪に集まっていた。
「浪速四天王」
辻内崇伸(大阪桐蔭-巨人)、鶴直人(近大附-阪神)、平田良介(大阪桐蔭-中日)、岡田貴弘(履正社-オリックス)の4名の総称である。その年、彼らは大阪の高校野球だけでなく高校球界の注目のスターであった。そして4人とも高校生ドラフト1位でプロの門をたたくのである。
今回の独占インタビューは現在、プロの世界で必死に頑張る4人を取材。高校時代から現在までを語ってもらった。
高校入学に関して
巨人 辻内崇伸選手 ~怪我を通じて考える練習にシフト。現在は段階を踏んで成長中!今後のブレイクに期待!!~
入学してみてから
辻 最初は雑用ばかりでした。同じ一年の平田(現、中日)だけが唯一練習に参加しているのを見て羨ましかったですね。一年はグランドさえも入れませんでしたから。グランドの外で草刈りとかをずっとやっていました。3年にならないとグランドに入れないかなと自分では思っていました。
頭角をあらわしたきっかけとなった一年生大会
辻 最初は何も考えずに雑用をしていましたが、練習に身が入るようになった、きっかけは一年生の私学大会です。雑用だけしかしていなのに何故か自分のストレートが速くなっていたんですよ。
それが監督の目に留まり、そこから3年生と一緒のチームに入れてもらいました。そこで「あ、俺もいけるんだ!」と思い、「練習頑張らんといけんな~。」と身が入るようになりましたね。
そこからですね。そして、「球が速いなら、もっと速くなりたい!」と思い、ひたすら走ったり、投げ込み等をしていました。本当に自分にはまっすぐしかないと思いました。だからストレートは磨けるだけ磨こうと思い、ストレートだけ練習していましたね。
ス 自分がいつまでにこういう選手になりたいというプランとかはあったのですか?
辻 プランは無かったですね。毎日あがっていこうという意識で練習していました。
とにかく半端なく練習をした高校時代
ス なるほど。自分の長所をひたすら伸ばそうと思ったのですね。球を速くする為に自分で考えてやった練習などはありますか?
辻 いえ。監督自らが通常のメニューの他に自分だけのランニングメニューを組んでくれて、その練習をこなしているうちに、自然と下半身が強くなっていきました。自分では速いと思わないですけど、チームメイトから速いと言われるようになっていきましたね。
ス 上手くなるには上手くなる理屈があると思うのですが、そういうのを考えたことはありますか?
辻 高校時代は言われたままやっていました。なんで速くなったのかはといったら分からないですね。
今思えば、中学時代にファーストから投手に転向した時に肘を痛め野球を出来なかった期間があったんですよ。そこで練習ができなかったのでひたすら手首のトレーニングをしていました。一日中、手首のトレーニングをやっていましたね。その後、怪我が治り、球を投げれるようになった時、すごく球が速くなったんですね。だから当時は上半身を鍛えれば球が速くなるのかなと思っていました。
それが高校に入ったら走るメニューばかりです。「本当に球が速くなるのかな?」と思っていましたね。
高校の時は自由がなかったですね。ただ本当に練習の量が半端なかったですから。
でもなんだかんだいって、体力が無かった自分が、いつもまにか、例えばミドルやったら自分が一番速かったりとか、成果として表れてきました。そこで成長を実感しましたね。
考えてやるようになったのはプロに入ってからですね。今、当時の練習をやれと言われても無理です。
ス 半端でない練習量が高校時代の辻内選手の成長の要因だったのですね。今はどんな事を考えてプレーしていますか。
辻 今は先発なので、その試合に合わせて考えながら調整したり、一日ごとの練習のテーマを自分で考えて、練習に取り組んでいます。
考えるきっかけとなった怪我
ス 怪我をして体への意識は?
辻 そうですね。今まで自分の体は強いと思っていましたが、怪我をしてから気づきましたね。今は自分の肘は弱いんだと思ってから、ケア等もしっかりしています。
ス 怪我をしたことは良いことではないのですが、体に意識をむける意味ではいい経験したのでは?野球選手は野球をするプロである以上、自分の体に対してしっかりケアする必要がありますよね。
辻 そうですね。凄くいい経験したと思います。
ス 現在の課題は?
辻 今は5回が投球の限界なので投球回数を増やしていく事ですね。やはり先発としての責任を果たすために6回、7回、8回、9回と、完投できるまでになりたいですね。今年中には万全の状態で最後の回まで投げれるようになりたいです。今は肘が元気ならどんどんいけると思うんですよね。
※6/25 イースタンの楽天戦8回無失点の好投。少しずつ目標をクリアしているようです。
高校生にメッセージ
辻 メンタル面です。特に夏の大会は「負けたら最後」がプレッシャーとなって自分のパフォーマンスが発揮できないのはもったいないです。最高のパフォーマンスをするには「負けたら」ではなく、「絶対勝つ」と思う。それだけだと思います。
ス ありがとうございました。
取材後記
辻内選手の「プロになりたい!速い球を投げたい!」その強い気持ちが、大阪桐蔭の練習についていく要因になったのだとお話を伺い感じました。そして成果が出てくることで、ついていけば、上手くなると信じて練習に取り組めていた。高校時代の成長にはそんな意識が根底にあった事が分かりました。そして現在、辻内選手は怪我がきっかけで今度は自分でいろいろと考えながら課題を一つづつクリアして上を目指しています。近い将来、東京ドームのお立ち台にあがる日が待ち遠しいですね。