2010年03月30日 阪神甲子園球場 

北照(北海道)vs自由ケ丘(九州)

2010年選抜大会 第82回選抜高校野球大会 2回戦


試合中の一つのプレー・瞬間のジャッジで大きく結果が変わってくるのが野球である。
今大会、松倉雄太が試合を決定づける「勝負の瞬間」を検証する。


勝負の前の餌撒き!



 9回表2死3塁。打席に向かう2番木村悠司(3年)は決意していた。「自分の役割であるバントで決める」。

 守る 自由ケ丘 の末次秀樹監督も予測していた。「バントもある」。木村は初球に手を出した。絶妙な強さで3塁線に転がるのをみて、「セーフになれる」と確信を持った。やや反応の遅れたサード・行弘剛(3年)は「これはアウトにできない」と打球を取るのを見送ってファウルになるのを待った。ライン際を転がるボールは、最後の最後でフェアゾーンに戻ってきた。当然3塁走者はホームインし 北照 が勝ち越しに成功。「スクイズはあると思っていたが、初球からとは。ついてなかった」と驚いた行弘。北照・木村の勝ちだった。

 実は木村のセーフティスクイズには伏線がある。7回に回ってきた打席だ。ファーストとサードの前進を見て、セカンド方向にプッシュバント、これが見事に成功し、この試合の3点目を挙げた。結果的に、このプッシュバントが9回の決勝点への餌蒔きとなった。

この餌が重要。

 バントがあるかもと相手に思わせることで、余計な神経を使わせることができる。そうなれば後は駆け引き、どのタイミングで仕掛けるのか。9回2死3塁行弘のスタートが遅れたのは、「まさか初球からはこないだろう」という頭がどこかにあったからだろう。 一方、殊勲者の木村にも聞いてみた。もしこれが逆の立場で、守っていたとしたら、9回2死でスクイズはあるか?

 「自分が守っていたらあそこでのバント(スクイズ)は考えはないですね」と木村は即答。

 つまりこれは、北照の木村だからこそのバント。徹底的に練習してきたからこそ、どこへでも転がせる。意表ではなく、木村にとってはごく当たり前のことだったのだ。

 これで気落ちしたのか、 自由ケ丘 のエース・小野剛貴(3年)は、3番西田明央(3年)にもレフトオーバーに三塁打を浴びて体勢は決した。

(文=松倉雄太

【関連ニュース】
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