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試合前の「礼」はなぜ始まったの?

2017.05.23

試合前の「礼」はなぜ始まったの? | 高校野球ドットコム

試合前の「礼」はなぜ始まったの?

 日本高校野球連盟の審判規則委員会では毎年【重点指導事項】を定めて、加盟する全校に配布しています。今日は今年(2017年度)の【重点指導事項】を紹介します。

平成 29年度重点指導事項
日本高等学校野球連盟
審判規則委員会

「礼に始まり礼に終わる」
我が国の学生野球のスタイルになっている、試合の始めと終わりに、両チームがホームベースを挟んでおこなう挨拶「礼」は‟礼に始まり礼に終わる”という試合に携わる全ての人に感謝と敬意を払うスポーツマンシップの精神から生まれたものです。
1915年の第一回全国中等学校優勝野球大会において、当時の平岡副審判長が訓話の中で「徳義を重んじる勇者の試合には、必ず付随すべき礼儀として制定した」と記録に残っています。 ところで昨今、同時に挨拶、同時に礼という礼儀の本質が乱れてきているのではないでしょうか?

・相手チームが頭を下げた後、ワンテンポ遅れて礼をする。
・礼の動作と発声のタイミングがバラバラで全員が揃わない。
 また、
・チーム同士の礼の後、審判委員の方を向いて再度礼をする。
・5回終了後等のグラウンド整備時、整備前後にそれぞれ整備された方々に礼をする。
・打者がバッターボックスに入る時、投手がボールを受け取る時、伝令が白線を越えるとき等

何度も何でも礼をする、必要なことでしょうか?
既に試合開始時に挨拶は済ませています。

甲子園大会では、大会審判委員は試合の始めと終わりには全員立礼しています。
また何時の頃からか自然発生的に役員やネット裏におられる各都道府県の野球関係者も、一緒になって立礼されるようになっています。
球審は、試合開始時には「始めます、礼」終了時には「終わります、礼」と掛け声をかけています。審判の「礼」の掛け声で「お願いします」「ありがとうございました」と挨拶しますが、この「お願いします」「ありがとうございました」は 相手チーム、審判委員だけに言っているのではなく、その試合に関係する全ての 人々に敬意と感謝の気持ちを表しているのです。

一昨年100年を迎えた選手権大会、来年の平成30年には選抜大会は 90 回、選手権大会は 100回を迎えます。選手・指導者・関係者の皆さん、今一度学生野球の原点のスタイルに立ち戻り、試合の挨拶は始めと終わりの二回で、同時に揃って礼をする「一同、礼」で、昨年度に引き続き 100年前から受け継いだ学生野球精神を維持していきましょう。

 さらに、兵庫県高校野球連盟ホームページの『高校野球のマナーとルールを学ぼう』2017年3月号にはこう書かれています。

野球規則では、試合開始前と終了後に両チームが本塁を挟んで整列し、礼(挨拶)を交わすことまでは定められていません。1915年の第一回全国中等学校優勝野球大会で、当時の平岡副審判長が訓話の中で、「徳義を重んじる勇者の試合には、必ず付随すべき礼儀として制定した」と記録に残っており、この精神が脈々と継承され、現在に至っています。 いよいよ、野球シーズンが本格化します。この精神を体現する「礼」のあり方をよく考え、選手、指導者、審判員は試合に臨んで欲しいと思います。

実は「礼に始まり礼に終わる」の一文は昨年(2016年度)の続き2年連続で明記されました。なぜ2年連続なのか。その意味を考えてみましょう。
例えば両チームが本塁を挟んで整列しての礼。今でも、相手チームとワンテンポ遅らせて礼をするチーム、礼の動作と発声のタイミングがバラバラで全員が揃わないチームを時折見かけます。
それは試合に携わる全ての人に感謝と敬意を払うスポーツマンシップの精神としてどうなのか?
今、ちゃんとやれているチームも、やれていないと思い当たるチームも、ぜひ一度、重点指導事項の五つの項目を見つめ直してみてはどうでしょうか。

参考
【兵庫県高校野球連盟ホームページ(高校野球のマナーとルールを学ぼう2017年3月)】
http://www.hyogo-koyaren.or.jp/events/umpire/umpire29.3.pdf

(文:松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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