埼玉西武ライオンズ 浅村 栄斗 選手
第147回 埼玉西武ライオンズ 浅村 栄斗 選手 2013年4月25日
[pc]
[/pc]
大阪桐蔭高時代、夏の甲子園優勝(2008年)を経験。1番・ショートで出場し、6試合で、打率5割超、2本塁打をマークした。また、遊撃手として守備でも高い評価を得るなど、高校時代から注目を集めてきた浅村栄斗選手。卒業後は埼玉西武ライオンズに入団。自慢の長打力と、堅守を武器に活躍をみせている。そんな浅村選手に今回は、高校時代のエピソードや今後の思いを伺いました。
浅村栄斗選手×ホームラン×大舞台
埼玉西武ライオンズ 浅村栄斗選手
――浅村選手は、高校通算22本塁打。とくに高校2年秋以降、本塁打を量産されてきましたが、バッティングにおいて、どんな変化があったのでしょうか?
浅村栄斗選手(以下「浅村」) バッティングの技術的な変化が、とくにあったわけではないんです。その時期に、体力強化をして、体が出来上がってきたことで、打撃も良くなったと思います。とにかく徹底的に下半身を強化して、それによって打球の質も、飛距離も変わってきたかなと思っています。
――当時のバッティングで、大切にしてきたことはどんなことですか?
浅村 実際は、あまりホームランを狙わずに、ライナーを打とうと思って打席に立っていたんです。強い打球を打つことを意識して、フォームは変えずに、ボールの内側を見て打つことを意識していました。
――浅村選手といえば、夏の甲子園2回戦・金沢戦では内角の球を見事にスタンドに運ぶなど、1試合2本塁打を放っていますが、内角の球を芯にあてるコツとは?
浅村 自分の感覚では、テニスをしているような感覚なんです。右手を上手く使えば打てますよ。この感覚で、変化球にも対応しています。
「本塁打はテニスをしているような感覚」
――ホームランへのこだわりは、今でも強いのでしょうか?
浅村 そんなにこだわりはないですが、二桁本塁打は打ちたいですね。金属から木製になってもポイントは変わらないですし、体がしっかり出来れば、長打を打つことが出来ると僕は考えています。
――では、浅村選手が、これまでのご自身のプレーで、一番盛り上がったと感じるワンシーンはありますか?
浅村 甲子園では、センター前へ抜けそうな打球をギリギリで捕って、アウトにしたプレーです。プロに入ってからは、サヨナラホームランですね。
(※2011年6月24日 東北楽天戦:9回二死一、二塁に同点に追いついた直後のレフトスタンドへのサヨナラ3ランを放つ)
サヨナラホームランを打った時の歓声はすごかったですね。プロでやっていけるという自信が、あの瞬間、出来たかなと思います。
――その一打もそうでしたが、浅村選手が大舞台でも、チャンスに強いプレーが魅せられるのはなぜでしょうか?
浅村 とにかく、楽しむ気持ちですね。楽しむことで、思い切ったプレーができると思っています。僕の場合は、プレッシャーは全く感じてないんですよね。
[page_break:浅村選手直伝!とっておきの守備上達法とは?]浅村選手直伝!とっておきの守備上達法とは?
[pc]
[/pc]
――浅村選手といえばバッティングだけでなく、高校時代から、守備でもチームに貢献してきました。守備範囲を広げるためのポイントとは?
浅村 守備範囲を広げるには、一歩目の反応を速くすることを意識し、また、足を使って守るということも常に考えておくことですね。その意識の積み重ねで、自然と守備範囲は広くなりますよ。
「グラブの芯で捕ることを意識しています」
――グラブ捌き(さばき)を上達させるには?
浅村 グラブ捌きは、グラブの芯で捕ることを意識することです。グラブの網で捕るよりも、正面に向けて、グラブの芯で捕ることで、すぐに持ち替えることができるので、その練習を繰り返すと、グラブ捌きが良くなると思います。
あとはキャッチボールですね。キャッチボールは大事だと思いますよ。僕は、プロにきてキャッチボールの大切さを痛感しました。キャッチボールは、遠投もできますし、ハンドリングの練習もできますし、守備の基本を養う練習こそ、キャッチボールだと僕は思っています。
――浅村選手は、プロ入り後は、内外野いろいろなポジションを守られていますが、複数のポジションに順応するために工夫していたこととは?
浅村 ひたすら練習を積み重ねていくしかないですね。とにかくノックを受けて感覚を養って、大事なところをこまめにメモしていきましたね。あとは先輩に積極的に打撃、守備のアドバイスを聞いたりしています。
高校生であれば、同級生を大事にしてほしいですね。3年間ずっと一緒だと思うので、その中で、守備が上手い選手や打撃が良い選手を見つけて真似することが上達につながっていくと思うんです。
僕は走るのが苦手だから走る。嫌なことに向き合ってほしい
[pc]
[/pc]
――2013年の今シーズン、浅村選手がこだわっていきたいところはどこですか?
浅村 守備ですね。プロですから、当たり前なことを当たり前にする。確実にアウトにすること。ショート、セカンドを守っていて、『浅村が守れば大丈夫』 といわれるぐらいになるまでの信頼を受けられるようにしたいですね。
「苦手に向き合うことが上達への近道」
――この春のキャンプでは、どんな課題を持って取り組んできたのですか?
浅村 守備は基本に返って、足を使って、捕って投げるという基礎的な動作を繰り返してきました。打撃では強いスイングをテーマにどんどん振り込んできました。
――浅村選手に憧れる選手も多いかと思いますが、高校時代からそこまで活躍できるために、何が大事だと考えられますか?
浅村 僕のレベルは、まだまだです。僕自身も、レベルの高いプレーを実現するには、まずはしっかりと体を作らないといけないと思っています。そのために、僕は今でも走りこんで、体を強くしていますよ。
――走るというのは、変化がなく、苦しくて、野手でも投手でも苦手な選手も多いかと思いますが、なぜ浅村選手は、そこに対してモチベーション高く取り組めるのでしょうか?
浅村 僕も走るのは苦手なんですけど、苦手なモノに向き合って取り組んでいくことが上手くなると思っているんです。
確かに、走るのが苦手な人が多いと思うんですけど、僕もそれに向き合ってよかったと思うことがありましたし、走ることが辛いと思っている選手の皆さんもそれに向き合って頑張って欲しいと思います。
――では、最後に甲子園を目指す球児たちにメッセージをお願いします。
浅村 僕らのチームは、甲子園で優勝しましたが、それほどの力のあるチームじゃなかったんです。だけど、2年生の夏に大阪大会決勝で負けてから、その悔しさをバネにして、チームがまとまったというのはありますね。
高校野球は、たった1回、負けたら終わりなので、最後の夏に向けて、守備においても、打撃においても、一球一球を大事にしてほしいですね。
浅村選手、高校からプロ入り後までの貴重なお話しをありがとうございました!
今シーズンも浅村選手のプレーに期待しています!