準硬式に新時代がやってくる?!OB選手たちがファーム、独立、社会人で奮闘中!<田中裕毅の”準硬ドットコム”第17回>
竹内奎人
リーグ4位と4連覇へ厳しい戦いが続いているオリックス。しかしチーム防御率2.41という成績でパ・リーグ2位の成績だ。自慢の投手力は健在のなか、ドラフト5位ルーキー・高島泰都投手が食らいついている。
先発投手に抜擢されるなど、チーム6位タイの8試合に登板。2つのホールドを記録している。社会人野球・王子製紙を経てオリックスへ入団したが、大学では明治大学の準硬式野球部に所属していた。
準硬式界にとって、最前線の1軍で戦力になっている先輩の存在は明るい話題。多くの刺激を受けているであろう選手たちのなかには、その背中を追いかけている若者もいる。
ファーム、独立で奮闘する4人
その筆頭となるのは、2023年にプロ志望届を提出した選手になるだろう。準硬式からプロ志望届を提出して、春も新天地で野球を継続しているのは4人だ。
くふうハヤテベンチャーズ静岡・竹内 奎人(静岡-群馬大)
富山サンダーバーズ・道崎 亮太(東邦-中京大)
高知ファイティングドッグス・池端 航洋(土佐-関西学院大出身)
神奈川フューチャードリームス・川浦 大希(相模原弥栄-国士舘大)
2024年から始動したことで話題になったくふうハヤテベンチャーズ静岡。新進気鋭のチームとして注目されているが、竹内自身も医師国家試験を合格した文武両道選手として多くのメディアに取り上げられた。
既に12試合で投げており、多くの登板機会をもらっている。だが防御率7.59とファームの壁に苦戦を強いられている印象。準硬式と比較すると、たしかにレベルは違うものの、何とか結果を残してほしい。
四国アイランドリーグPlus・高知ファイティングドッグスへ進んだ池端も同じだ。5試合に登板しているものの、防御率6.48と結果はいまひとつ。関西学院大のときには、完全試合を達成したことでも話題になったが、独立リーグはそう簡単ではなかった。大卒で独立の世界に飛び込んでいることを考えると、ゆっくりとは出来ないだろう。いち早く活躍する姿を後輩たちにも見せて欲しい。
神奈川フューチャードリームスに進んだ川浦も、練習生としてスタートしており、リーグ戦デビューには至っていない。
準硬式の時のように上手く活躍出来ていない選手がいる一方で、富山サンダーバーズ・道崎は幸先良いスタートを切った。開幕戦から2番手で登板すると、制球に苦しみながらも無失点で抑えている。球威あるストレートで押し込むシーンが見られたが、引き続き打者を圧倒するような投球で結果を残してほしい。
社会人野球でもプレーする球児たちが!
NPB2軍、独立リーグと高いレベルで戦っている選手がいる一方で、社会人野球の道に進んでいる選手もいることを伝えたい。
私が把握しているだけでも、2人は社会人野球の舞台に進み、NPBに挑もうとしている。
中央大・石井竜弥(浦和学院出身):日本製鉄室蘭シャークス
帝京大・山崎陽平(横浜隼人出身):オールフロンティア
浦和学院、そして中央大とどちらも強豪校で主力級として腕を振り続けた石井は、北海道で活動する日本製鉄室蘭シャークスへ進んだ。オープン戦で結果を残し続けると、先日より開幕したJABA東北大会では、JFE東日本戦で先発して6回1失点の好投。幸先よくスタートを切っている。速球とスライダーを武器に、さらなる活躍を見せて欲しい。
帝京大では関東大会優勝を経験した山崎は、オールフロンティアへ。石井同様に、早くも公式戦で登板しているものの、なかなか結果を残せていない状況だ。社会人野球の洗礼を浴びているところだが、是非活躍のチャンスをつかんでほしい。
これまで準硬式からNPBに進んだ選手は高島を含めれば12人いる。そのメンバーを見ると、高島の前は2020年に大曲 錬が西武のドラフト5位と、直近で2人がNPBへ進んでいる。そんな先輩たちの背中を追いかけて、2024年から6人が硬式野球へ戻っているのは、上のステージで継続したい現役選手たちの可能性を広げてくれるに違いない。
学生主体や文武両道などが特徴的だった準硬式。良い取り組みではあることは間違いないが、そこに加えて「上手い」、「強い」と競技レベルも高まっていけば、さらに準硬式は広がっていくはずだ。
今回紹介した6人のこれからの活躍を楽しみにしたい。
取材・文/田中 裕毅(準硬式野球評論家)
小学3年生から中学生までは軟式野球。高校での3年間は硬式野球をプレー。最後の夏は控え捕手でベンチ入りを果たす。
大学から準硬式野球で3年間プレー。大学2年、3年生のとき、チームは清瀬杯大会に出場し、自身はベンチ入り。さらに3年生の1年はチームの主務として、選手登録やリーグ戦運営に携わる。特に春季リーグはリーグ委員長として、試合日程の調整をはじめとした責任者を任される。