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第81回 患部外トレーニングについて2013年11月29日

マシントレーニングは動く範囲が制限されているのでより安全に鍛えられる

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

高校野球はいよいよオフシーズンを迎えます。皆さんのチームでも技術練習と並行して、トレーニングやランニングなど体力面を強化するための練習が組み込まれているところも多いと思います。
前回「トレーニング期に向けた準備」では、不安部位を取り除くこと、現状を把握するための体力測定の実施、目標設定などについてお話をしました。今回はケガを抱えている選手が、トレーニング期に出来ることについてお話をしたいと思います。

【ケガをしているから練習の手伝い?】
ケガをしている選手は、通常練習に参加することがむずかしく、練習の手伝いをしたり見学をしたりといったことが多いと思います。だからといってケガが治るまで身体を動かさず、何もしないというのも時間がもったいない。高校野球が出来る時間は多く見積もっても2年半です。少しでも早く競技復帰できるようにするためには、ケガで練習が出来ない期間にも、ケガの部位以外のところを鍛え、ケガが治ったらすぐにプレーできるようにしておきたいもの。ケガ以外の部位をトレーニングすることを「患部外トレーニング」と言います。

【たとえば右肘を痛めている場合】
患部外トレーニングについては、まずケガを診てもらった病院の医師に相談するようにしましょう。たとえば右肘を痛めているのであれば、左腕や体幹・下半身は動かしていいかどうか。ジョギングやランニングはどの程度の強度まで行っていいかなど、身体を動かせる範囲を確認します。右肘だけであればランニングなども制限なく行えると考えがちですが、手術後など肘に大きな負担がかかると痛みなどを引き起こす場合があります。ジョギングで起こる振動なども制限しなければならないかもしれません。こうした判断は自分自身で行うのではなく、治療を受け持つ医師の指示を仰ぐことが大切です。

医師から「左腕・体幹・下半身」の運動許可が出たところで、患部外トレーニングをスタートさせます。ジョギング・ランニングも特に制限がなければ、積極的に参加しましょう。フリーウエイトでスクワットなどを行う時、肘に負担がかかるようでしたら、マシントレーニングなどに変更して行います。十分な器具や施設がない場合は、自重(自分の体重)を使ってのトレーニングを行ったり、選手同士ペアになってトレーニングを行ったりします。

「左腕だけトレーニングすると鍛えられたほうだけ大きくなって、右腕は細いままなのでは?」と心配することがあるかもしれませんが、左腕のみ行っても問題ありません。筋肉は左腕のみ鍛えられますが、運動を指令する神経の伝達は両腕に流れているため、トレーニングをしていない右腕にもある程度の効果が見込まれます。何もない状態でダンベルを想像し、「エア」トレーニングを行っても筋肉は太くなるともいわれています。また復帰した後に右腕のトレーニングを再開すると、何もしなかったときよりも早く筋肉がつくといわれています。左右のバランスを整えるのは、ある程度筋力が回復してからでも十分間に合います。

【次のページ】 患部外トレーニングについて(2)

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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