第451回 県立豊田工業高等学校(愛知)「いける」感触掴んだ全三河大会での準優勝2017年09月30日

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[1]チーム内の競争意識を高める「赤ビブス制度」
[2]甲子園も狙える公立校という意識を持つ
[3]来年の夏を目指して、秋と春の全三河大会に挑む
全国で二番目の激戦地区となった188チームが参加した愛知大会で、県立校で唯一ベスト8に進出した豊田工。普通の公立校であり、実業校という中で、どのようにしてチームを作り、強化に余念がない強豪私学や甲子園でも実績のある強豪校などと対等に渡り合える戦いが出来たのか。そしてまた、記念大会となる来年の第100回大会へ向けて、どのようにしてチームを作り上げていく方針なのか探ってみた。
チーム内の競争意識を高める「赤ビブス制度」

平松忠親監督(豊田工)
記念大会となる来年の夏は、愛知大会は東西に分けられて、2校が代表となることがすでに決まっている。名古屋市内勢と尾張地区の西愛知大会と東西の三河地区に知多地区が加わる東愛知大会からそれぞれ優勝校が代表となる。
ことに、いわゆる私学4強などと呼ばれている名古屋市内の有力私学がいない東愛知大会の各校は、千載一遇のチャンスとばかりに各校とも、チーム力整備に余念がない。この夏のベスト8進出で確かな自信を掴んだ豊田工もそんな一つである。
その原動力となるであろうと思われるのがエースの横田 龍也君ということになるが、この秋は期待されながらも、県大会初戦で名古屋国際に0対1と最少失点で敗れた。
「完封されて負けといて『何言っとるんだ』と、言われるかもしれませんけれども、今度のチームは打てるチームだと思っているんですよ。県大会では打てませんでしたけれどもね(苦笑)。それで、横田が相手の8番打者に打たれた一本の安打で負けてしまいましたからね……」
と、豊田工を率いて11年目となる平松忠親監督は、万全で臨んだはずの秋季大会を振り返る。もちろん、完封負けをしたということで、これから先の冬のトレーニングとしては、最大の強化点はパワーアップということになる。毎年行われている、知多半島の美浜町での強化合宿は、より激化していくことは間違いない。
豊田工の恒例システムとしては「赤ビブス制度」というのがある。これは、日々の練習を見ているマネージャーが、毎週月曜日に「頑張っている選手20人をわかりやすくするために番号付きの赤いビブスを着用してトレーニングする」という基準で選定して、平松監督に報告するという制度である。こうして選定されて、1番のビブスをつけてトレーニングしている選手は一番頑張っているという証なのである。そして、当然それが来るべきシーズンのベンチ入りメンバー選びのための重要な参考要素にもなっていくことになる。
また、そのことでマネージャーも、よりしっかりと選手たちの練習を見つめていくことにもなるのだ。1番ビブス争いが激化していけばいくほど、チーム内の競争も激しくなっていくし、選手の意識も向上していく。もちろん、そのことでパワーアップもしていき、ひいてはチームの底上げにもつながっていくということになる。

- 手束 仁
- 生年月日:1956年
- 出身地:愛知県
- ■ 経歴
半田高→國學院大。
大映映像事業部などで、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションで10年勤務。実用書の企画・編集とスポーツ関連の企画も多数手がけた。
99年にムックとして『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け刊行。さらに99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、スポーツフィールドをメインとした書き手として独立。 - ■ 著書
『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社)
『甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)
話題作となった
『甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
『スポーツ進学するならコノ高校』
『東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
『三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
『スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
『高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
『野球県民性』(祥伝社新書)
『野球スコアつけ方と分析』(西東社)
『流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW! - ■ その他の著書
『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)など文学と社会風俗、学校と教育現場などで独自の解釈と新境地なども開拓中。 - ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
- ■ スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」などの特別講師。独自の視点からのスポーツ論などを展開。
- ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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