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沖縄尚学を下した春王者・日本ウェルネス沖縄、甲子園狙う興南など戦国沖縄は熱戦に期待

2023.06.09

 105回目を数える全国高校野球選手権沖縄大会が6月17日から開催される。今年は4年ぶりに開会式(全参加校の行進)を執り行うことが決定。連合校を含む60チームが沖縄の頂点を目指して戦っていく。

 春の王者である日本ウェルネス沖縄が第1シード、選抜高校野球大会に出場した沖縄尚学が第2シード、春準優勝の沖縄宮古が第3シード、日本ウェルネス沖縄と準決勝を戦った西原が第4シードとなる。興南未来沖縄エナジックの私学3校に、昨年秋のベスト4の糸満、新人大会準優勝の北谷など、そうそうたる顔ぶれがいずれもノーシードと、まさに戦国沖縄の夏は予想がつかないが、まずはそれぞれのブロック毎に展望を見ていこうと思う。

沖縄尚学を下した春王者・日本ウェルネス沖縄、甲子園狙う興南など戦国沖縄は熱戦に期待 | 高校野球ドットコムトーナメント表
沖縄県大会の組み合わせ

沖縄尚学を下した春王者・日本ウェルネス沖縄、甲子園狙う興南など戦国沖縄は熱戦に期待 | 高校野球ドットコム大会の詳細・応援メッセージ
第105回 全国高等学校野球選手権記念沖縄大会

Aブロックの展望

沖縄尚学を下した春王者・日本ウェルネス沖縄、甲子園狙う興南など戦国沖縄は熱戦に期待 | 高校野球ドットコム
日本ウェルネス沖縄・上原律己

 第1シード日本ウェルネス沖縄ブロック。現3年生たちの初の公式戦となる1年生中央大会で見事優勝した日本ウェルネス沖縄。その後、新人中央大会ベスト4、秋季県大会準優勝、秋季九州地区高校野球大会ベスト8と常に上位進出。そして今春季県大会で見事優勝したばかりでなく、選抜高校野球大会に出場した沖縄尚学とのチャレンジマッチをも制して堂々のトップシードを獲得した。

 エナジック読谷名護西原、沖縄宮古と決勝までの5試合で26得点8失点と、驚くほどの大差をつけて勝ち上がったわけではなく、チーム打率も.276と少々おとなしめな感は否めない。だが、データに出ない勝負強さと、ここ一番でのナインの集中力は高く、連打や大量点のイニングが1試合に一つはあるといった感じだ。

 それを支えるのが強力な投手陣。昨年秋の県大会と九州大会で頭角を現したサイドハンドの上原 律己投手(3年)に、今や追い付き追い越せのオーバーハンド安里 幸大投手(3年)の二枚看板が大きい。安里は、春の九州大会で福岡大大濠に1回に6長短打を浴び5点を失ったが、その後は持ち直した。沖縄尚学とのチャレンジマッチでは先発し、粘りの投球で9回2失点。さらに中京大中京との招待試合では先発し7回を投げ5安打無失点ピッチングを披露と、投げるたびに成績が良くなっている。

 昨年までの経験豊かな上原一本ではないところに、5試合で4失策(準々決勝以降1失策)と信頼できる野手陣と合わせ、相手チームは2、3点しか奪うことができない計算だ。(対戦した花巻東が2得点、沖縄尚学が9回までに2得点、中京大中京が3得点)

 このAブロックで日本ウェルネス沖縄を追い掛けるのは次の6校。昨年秋ベスト4で春ベスト16の糸満。同じく秋ベスト8、1年生中央大会準優勝、春ベスト16の宜野座。秋春連続ベスト8の沖縄工。春日本ウェルネス沖縄に1対3と接戦を演じた読谷。春ベスト8の前原。新人中央大会準優勝の北谷だ。そのうち実に5校が反対の山に集中してしまった。糸満前原宜野座読谷、その勝者が2回戦で顔を合わせるということで、この4校の山から勝ち残った1校は、技術的にも精神的にもかなりの自信をつけているに違いなく、台風の目となる可能性もある。


Bブロックの展望

沖縄尚学を下した春王者・日本ウェルネス沖縄、甲子園狙う興南など戦国沖縄は熱戦に期待 | 高校野球ドットコム
興南・平山 航多

 春の県大会でベスト4と大躍進した西原がシードのブロック。初戦の陽明戦で2ケタ安打7回コールド勝ちを収めると、次戦では沖縄水産を相手に圧倒。前半で6対0とし見事勝利を収め波に乗った。準々決勝では興南を倒してきた未来沖縄を相手に、1点差ゲームを制し24年ぶりのベスト4。日本ウェルネス沖縄には完敗したが、相手が嫌がる泥くさい野球、粘りの野球で自信をつかんだ。準決勝までの5試合で4失策とした野手陣もさらに鍛え上げる。

 中京大中京との招待試合で6回まで2失点と踏ん張りを見せたエース友寄 瑞昌投手は、春の県大会平均与四死球が1.64と制球力に秀でる。4番・國吉は準々決勝までの打率が.471で7打点の勝負強さも発揮。投打の柱が揃って活躍した24年ぶりの4強進出。ただ、日本ウェルネス沖縄のように、頭一つ抜き出た投手からはなかなか点が奪えない。打たせて取る意識をさらに高めつつ、守りも一段上のレベルまで上げていく1対0のような野球で頂点を目指す。

 対抗一番手はやはり興南だろう。新人中央大会優勝、秋ベスト4も春は未来沖縄の前に屈しベスト16。平山 航多投手(3年)、田崎 颯士投手(2年)の両サウスポーは県内屈指だけに、打線に厚みが出れば一気に駆け上がるだろう。

 強力な打線で春ベスト4の豊見城。秋ベスト8の北山。商業高校野球大会優勝の浦添商。同じくベスト4の中部商。春、沖縄工と接戦し、中部地区高校野球大会・商業高校野球大会連続ベスト4の具志川商。沖縄宮古と1点差の小禄。同じく沖縄宮古と2点差ゲームの嘉手納未来沖縄と1点差の北中城も面白い存在だ。そしてリベンジを掲げる沖縄水産がこのブロックを抜け出そうと目論む。

(文=當山 雅通

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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