高校野球ドットコム編集部が選ぶ東京都の侍ジャパンU17代表候補
東京都高野連は、今年の12月、第100回大会記念事業としてU17東京代表キューバ親善野球海外遠征が行われる。今年は1、2年生20名が選出されるが、この夏の大会から視察の対象となっている。今回は高校野球ドットコムが独断で候補選手を選出。秋以降の注目選手として注目していただければ幸いだ。
投手では公立校に好素材が揃う
日大三 井上広輝
井上広輝(日大三)は故障に苦しんでいたが、甲子園で完全復活。2回戦の奈良大附戦で最速150キロをマーク。鋭いチェンジアップを投げ込み、改めて2001年生まれを代表する選手として印象付けた。秋はエースとして活躍できるか、注目である。
廣澤優(日大三)は189センチの長身から角度ある最速145キロのストレートと強烈な変化を描くチェンジアップを武器にする大型右腕。西東京大会は思い通りのピッチングができず苦しんだが、甲子園では最速148キロのストレートを投げ込み、素質の高さを発揮した。秋以降は都内屈指の右腕として注目するべきである。
都内上位チームでは東亜学園の斎藤北斗、細野晴希は注目すべきだろう。斎藤は135キロ前後の速球と、細野は120キロ台ながら、緩いカーブを巧みに使い分けて勝負する技巧派左腕。そして一塁走者を何度もアウトにさせたけん制技術も注目だ。
11人ながら4回戦まで勝ち上がった都立大島の荒田奏斗は、最速138キロのストレートには勢いがあり、制球力も高く、クイック、フィールディングの精度も高く、投手としての素材、完成度も過去の都立大島ではトップレベルの2年生右腕。さらに、常に全力疾走を心がけ、泥んこになりながらグラウンドを駆け回る野球小僧の一面も持つ。この秋は都立東大和からの派遣選手を入れたチームで大会に臨む予定だ。代表決定戦では関東一と都立日野の勝者とどちらが勝っても熾烈な戦いとなりそうだ。
都立文京の仲亀烈太は187センチの長身から角度ある速球を投げ込む大型右腕。この夏のマックスは138キロだが、来年以降、140キロ超えも期待できる投手だ。
工学院大附の渡邊 充は187センチの長身から力強い速球を投げ込む大型右腕だ。西東京大会では、国士舘戦で好投を見せ、評価を上げている。早稲田実業の伊藤大征は躍動感溢れる投球フォームから140キロ前後の速球を投げ込む速球派右腕。夏では悔しい結果に終わったが、それでも総合力の高さは2019年の西東京をリードする右腕だ。
しかし投手については、まだデビューが遅く、目立った活躍を残せていない。秋以降に好投手が続出することを期待したい。
捕手、内野手、外野手の逸材
東海大菅生 小山翔暉
捕手では、1年生だが、山田将義(二松学舎大附)が面白い。侍ジャパンU-12代表、U-15代表と二世代で侍ジャパン入り。ハイレベルな大舞台を経験しているということもあって、冷静なリード、強肩で投手陣を引っ張り、成立学園戦でも本塁打を放っており、攻守ともに完成度が高い選手。甲子園でも二盗を刺すなど、存在感を発揮した。
また、東海大菅生の小山翔暉は西東京大会で3本塁打を放った強打のキャッチャー。140キロ前後の速球にも振り遅れしない打撃技術は必見だ。また都立城東の三好秀登も攻守のレベルの高さは、都内の2年生捕手ではハイレベル。広角に打ち分ける打撃、打者の弱点を察知したリードなど秋も注目捕手に挙がりそうだ。
内野手では、二遊間を中心に逸材が揃う。ベスト4の帝京は澤石淳平、小松涼馬の1年生二遊間は面白い存在。二塁の小松はボールに合わせる技術が高く、小回りが利く。澤石はパンチ力ある打撃と躍動感ある動きが魅力のショートだ。そして、東東京で屈指のショート・伊澤健翔(安田学園)は広い守備範囲と強肩を誇る。センターへ抜けそうな打球や三遊間への深い打球にも難なく対応する守備技術の高さは、甲子園に出場しているショートと比較しても、ひけをとらないものがあるだろう。特にそのすごさを発揮したのが5回戦の明大中野戦だ。
1回表にはセンターへ抜けそうな打球を追いついて、そのままランニングスロー。2回表には三遊間の深い位置から逆シングルで捕球し、ダイレクトスローでアウト。8回表には複雑なバウンドに対してしっかりと処理してアウトにする好プレーを見せた。
ここまで二遊間の選手を紹介してきたが、一塁手の山西 嘉偉(東京日本ウェルネス)は打球の速さ、飛距離は都内屈指。また投手も兼ねる選手で、秋では投打ともに力を発揮し、秋は上位を狙いたい。
外野手では2年連続の東東京代表となった二松学舎大附で1番打者ながら本塁打を記録している大型の右打ちスラッガー・右田稜真、打率.778、6盗塁を記録した野村昇太郎はバットコントロールの良さ、俊足をウリにする野村昇太郎、共栄学園の早川大生は1年夏からサードのレギュラーを獲得。1年秋はキャッチャー、この夏はセンター。どのポジションを守れるユーティリティなところがあり、秋ではどんなポジションを守るのか、注目される。
また、早稲田実業の生沼弥真人は、敗れた八王子戦で本塁打を放ち、打撃技術、パワーは素晴らしいものを持っており、秋では東京都屈指のスラッガーとして注目されるだろう。
この夏も1、2年生が主力として出場したが、その中で厳選して選出をさせていただいた。今回取り上げた選手以外にも、秋に飛躍的に伸びれば入る可能性を持った選手は多くいる。私立、公立問わず多くの逸材が出てくることを期待したい。
(文=河嶋宗一)