舩曳 海選手 (天理)

寸評

　なぜこの選手の評価が高いかといえば、今はやりのアスリート型の外野手だからだろう。182センチ72キロとスラッとした体型、芯で捉えた時の打球の速さ、塁間3.90秒で駆け抜ける俊足、守備範囲の広さが光る外野守備、強肩と身体能力は高水準を誇っている。 　 　あとは圧倒的な存在感を示すためには、打撃面で、コンスタントに結果を残すだけ。センバツで打撃開眼はなるのか。 （打撃） 　秋季大会では左中間に打ち込む打撃を見ると、ツボにはまった時の打撃は見事だが、まだ確実性を欠く。 　ただベースとなる身体能力、パワーは素晴らしいものはあるだけに、打撃開眼すれば、評価の伸びは、センバツの注目選手に挙がっている選手と比べるとかなり違うことが考えられる。今の時代、身体能力抜群の外野手は好まれる時代。スカウトはそういう選手を欲しているだけに、舩曳の打撃面の成長を期待しているのっだ。 　スタンスはスクエアスタンス。グリップは肩の位置に置いて背筋を伸ばして構えている。腰の据わりが良くなく、やや顎が上がった形となっていて、あまり良い見え方ではなく、やや窮屈さを感じる。投手の足が着地したところから始動を仕掛ける、遅い仕掛けで、ステップに入る。足上げは小さく、間合いを測ることができていない。 　トップの動きを見ていくと、捕手側方向へ引いていくが、立ち遅れが目立ち、しっかりと形成ができていない。振り出しを見ると、ややヘッドが下がったスイングとなり、またトップが立ち遅れにより、強いスイングができていない。反動が小さい構えでも、強いスイングが出来るのならば、問題ない。だが夏、秋の打撃を振り返ると、捏ねたスイングとなって、凡退することが多いのだ。空振りでもよいので、始動、ステップ、テイクバック、インパクト、フォロスルーまで無駄がなく、また強いスイングができることができれば、打球の勢いはこれまでとだいぶ変わっていくのではないだろうか。 （守備・走塁） 　塁間タイムは3.9秒ほどで、相当なタイムを誇っている。盗塁数は公式戦11試合で11盗塁を記録している。十分に俊足を発揮している数字であり、センバツではこのスピードをしっかりと発揮し、格の違いを見せてほしい。 　守備も、一歩目の判断はよく、守備範囲自体は広い。ポジショニングもしっかりと工夫しながら、守っている様子が見られた。肩も強く、外野から強い返球が見られ、高校生としては強いレベルに入る。守備面で存在感を示すことができるか。

将来の可能性

　走攻守すべてにおいて身体能力の高さが見られるが、打撃面では淡白さが見られ、同じ内容で凡退しているところが課題。高卒プロを目指すのであれば、打撃面では簡単にアウトにならないねちっこさを求め、甘い球を見逃さない鋭さを求めていきたい。走塁・守備も光るものを持っているが、結局は打撃で存在感を示していかないと、見てもらえない。強みにならないのだ。 　まず出塁をしなければ、盗塁で魅せられない、長打を打たなければ、ベースランニングを披露することができないのだ。打撃面でアピールできれば、守備力の評価に回る。そういうサイクルを求めて、センバツではぜひ打撃を存分にアピールをして、ドラフト候補として浮上することを大いに期待したい。