立田 将太選手 (大和広陵)
寸評
2014年度を代表する大型投手・立田 将太。数々のインタビューを見ると、大人びたというか、並みの高校生ではないと思わせるコメントを残している。コメント通り、投球もなかなか考えた投球が出来る投手で、投手らしい投手だ。 (投球内容) 右オーバーから投げ込む直球は常時135キロ前後を計測。135キロ前後だが、スピンがかかったストレートは中々で、力を入れた時の140キロ前後(最速143キロ)の直球が決まる。135キロ前後の時は内外角へのコントロールはまとまっているものの、まだ力を入れる時は速球が高めに浮く傾向があり、もっとストレートを磨いていきたいところ。 変化球はスライダー、カーブ、縦のスライダー、ツーシームを中心に投げる。変化球の制球力はまとまっており、しっかりとストライクが取れる変化球なので、投球の組み立てがしやすい。ストレートとカーブを使って緩急を使い分けたり、縦のスライダーで三振を狙ったりと、間合いを変えたり、ランナーを置いてからも投げ急がずに自分の間で投げることが出来ている。 投球の内容を見るとどのようにして打ち取っていくか。それを考えて投げているのが伝わってくる。ただ投げているだけの投手ではないので、この感性はもっと磨いてほしいところ。 秋季大会では43イニングを投げて失点は僅か3と素晴らしい投球内容だったが、しっかりと投球を組み立てられるストレート、変化球のコントロールが優れて、考えながら投球を組み立てられる感性の良さもある。 強いて課題をいえば、もっと高校レベルで圧倒出来る投手となってほしい。現在の球の精度がすべてにおいて70点ぐらい。プロレベルで見ると投球は出来る投手だけど、何か特徴を欠ける投手という印象は否めない。個人的には80点~90点ぐらいの精度は求めていきたいところだ。 クイックは1.2秒前後と素早いクイックが出来ており、ランナーをおいてからもしっかりと目配せを行っている。フィールディングの動きも良く、投球以外の技術も優れているといえるだろう。 (投球フォーム) ワインドアップから始動し、左足を回しこむように上げていき、右足のひざを曲げて真っすぐ立つ。左足をショート方向へ伸ばしていきながら、重心を下げていき、着地する。 縦系の変化球を投げようと、お尻から先行するヒップファーストはできているが、踏み込んだ左足が開いてしまい、それと同時に左肩の開きが早くなってしまい、出所が見やすくなっているのが欠点。グラブの動きをみると左肩が正対してしまう。着地する脚が内向きになって、膝の開きを抑えて、さらに胸を張る形が出来るようになるともっと角度があって、縦の変化球も生きてくるだろう。 テークバックを見ていくと内回りの旋回をしていいきながら、しっかりとトップを作り、リリースに入る。打者寄りでリリースすることが出来ており、球持ち自体は良い。最後のフィニッシュでは膝が割れた状態となってしまって、体重が乗っていかない。 課題は左足の使い方にあり、左足の開きを抑えられることで、体全体の開きも抑えられ、角度を活かした投げ方が出来るようになるだろう。
更新日時:2013.05.28
将来の可能性
高校生として考えて投げる投球が出来る投手であり、本格派よりもコンビネーションで勝負する技巧派右腕に成長していくのではないだろうか。ただフォーム面をみると実戦的な面で課題を残しており、この課題を克服して、ストレート、変化球も、すべてにおいて高校生トップレベルを極めて行ってほしいと思う。来年のドラフト候補となっていく投手であると思うが、さらにステップアップし、上位候補として期待される投手になることを期待したい。
更新日時:2013.05.28