柿澤 貴裕選手 (神村学園)

柿澤 貴裕

球歴:神村学園

都道府県:鹿児島

ポジション:投手

投打:右 / 左

身長:178.0 cm

体重:80.0 kg

学年:卒業

寸評

 この夏の甲子園で最速143キロを計測した柿澤 貴裕。腕の振りの角度は低く、横系統で勝負する投手と評したが、神宮大会では腕の位置をさらに下げて、癖球で勝負する投手になっていた。ただストレートが速い投手と思っていたが、技巧派に方向性を示していたのは中々面白い投手であったと思った。 (投球スタイル) ストレート 142キロ 常時 135キロ~140キロ スライダー 120キロ前後 シンカー 120キロ前後 カーブ  110キロ前後 チェンジアップ 120キロ前後 ツーシーム 130キロ前後 当時は威力のある140キロ台のストレートを投げ込んでいたが、若干回転をかけており、癖球で勝負する投手になる兆候はあった。神宮大会では135キロ前後だが、ストレートはむしろ少なく、135キロ前後でもカットにしたり、ツーシームにしたり、落としたりといろいろ変化を付ける投手に変貌していた。 変化球はスライダー、シンカー、カーブ、スプリット、ツーシームと球種は多彩。チェンジアップ、ツーシームは同じような腕の振りで投げていき、変化を付けていくため。特にチェンジアップの落差は中々のものであり、対応力の高い光星学院の打者も対応に苦しんでいた。カーブは緩く曲がり、低い角度から投げるので、ふわっと浮いた感覚で落ちていく。シンカーも同じような軌道でゾーンに決まっていき、嫌らしい投手になっていた。 (配球) ・右打者 外角にストレート、スライダー、内角にはツーシームを投げ分け、目先を変えてカーブを投げていく。横系統で勝負していく投手だが、カーブをうまく使い分けて、実戦的な投球が出来ている。 ・左打者 左打者には外角中心にストレート、チェンジアップ、シンカーを投げて構成する。インハイにも投げていたが、本塁打にされてからは外角中心の投球に落ち着いた。 (投球フォーム) 体格、雰囲気からして右上手の本格派と思わせるが、なぜ彼が癖球を売りにする右スリークォーターに切り替えたかは興味深い。左肩を下げて、体を回旋させる投げ方は館山昌平を参考にしているかもしれない。 ノーワインドアップから始動する。左足を回しこむように高く上げていき、右足は一本足で立ってバランスを保っている。足を回しこむように上げていくと大体は踏み込んだ足が開いてしまう癖が顕著になっている。 左足を三塁側に向かって伸ばしていくが、重心を下げていくが、インステップ気味に踏み込んでいく。ステップ幅は狭く、着地の粘りは感じない。左腕のグラブを見ていくと左肩を下げていく。開き自体は早く、出所は見やすい形となっている。軸足の粘りが感じないため、低めの制球力は不安定になる。 テークバックはコンパクトにとっていき、トップを作っていく。彼は左肩を下げていき、体全体を回旋していって、腕を振り抜く。打者寄りで離す意識は見られ、多彩な変化球を投げ分けていくことが出来ており、器用な投手かもしれない。 ただ最後のフィニッシュでは踏み込んだ足が割れており、最初の引き上げで捻りを入れていくので、膝が開きやすい傾向は変わっておらず、体重が乗り難い。完全な横の変化球を活かす投球フォームになり、バックスピンのかかったストレートを投げる本格派ではなく、技巧派投手を追求するフォームと感じた。その割には軸足の粘りが弱く、低めの制球力が悪いので、如何に軸足で粘って、低めにコントロールできるフォームに改良していけるかがこの冬の最大の課題だろう。
更新日時:2011.12.07

将来の可能性

 甲子園では1イニングしか見られなかったが、神宮大会では7イニングを見て、彼の投球スタイル、方向性を把握することが出来た。多彩な変化球を投げられることには驚いたが、今はストレートのコントロールを磨き続けることだけに追求してもらいたいと思う。ストレートのスピード自体はトレーニングやオフの間に自ずと上がっていくと思うが、方向性は誤ってほしくない。どんな投手でも同じだが、彼はストレートでも、変化球でも、構えたところに寸分狂いなくコントロール出来る制球力を身につけるためにフォーム作りに励んでほしい。打ちとれる球種は変化球中心で、自信を持ってストレートで抑えた球種というのは少ない。本当の意味でストレートのコントロールはある投手ではないと思う。  九州大会ではまともな登板は少なかったが、神宮大会優勝した光星学院相手に自分の投球が出来たことは自信になったはず。ぜひ選抜では大きく成長した姿を見せてくれることを期待したい。
更新日時:2011.12.07

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です