黄本 創星選手 (木更津総合)

寸評

　一年秋から135キロ前後の速球を投げ込んでいた黄本 創星。ただ速球の割に振り抜かれることが多く、打ち込まれて大量失点を喫することも多かった。それを意識してか、千葉経大附戦ではコーナーワークを意識したピッチングで被安打9ながらも完投勝利。昨年よりも成長した姿を見せてくれた。 （投球内容） 彼は何と言っても力強いストレートが売り。力強い腕の振りから投げ込む速球は常時135キロ前後・マックス139キロを計測。一年時の常時130キロ・マックス136キロから5キロ前後スピードアップしており、ピタッと嵌った時のストレートは素晴らしい。ガンによっては140キロ台も計測していてもおかしくないストレートであった。以前よりも高めに浮く事は少なくなったが、やはりベルト寄りに集まると振り抜かれやすいので、如何に内外角・低めに投げ分けられるか。それが彼の生命線となっていくだろう。 変化球はスライダー、縦のスライダー、カーブ。右打者には外中心にストレート、スライダーを投げ分け、2ストライク以降から縦のスライダー。左打者には外中心の配球から内にスライダーを投げ分けるようになった。スライダー、縦のスライダーのキレは高校生にしては標準以上。打者を見て、ストレート、変化球を効果的に使い分けて、打たせて取るピッチングを展開したい。 　クイックは1.10秒前後と素早いクイックが出来ており、コントロールの乱れもない。牽制も鋭く入れており、フィールディングの動きも率のない動きを見せており、投球以外の技術もしっかりと鍛えられている。 （投球フォーム） 　下半身で支え、上体の強さから鋭い腕の振りで投げ込む投球フォーム。腕の振りの強さが彼の大きな売りだ。 　ワインドアップから始動する。左足を真っすぐ上げていき、右足は一本足で立つ。左足をショート方向へ伸ばしていきながら、重心を下げていき、左足を送り込んで着地する。左腕のグラブを真っすぐ伸ばして、左胸に抱え込むことが出来ており、制球力は安定する。しかし打者と正対するのが早く、出所は見やすい。そのため140キロ前後の直球を投げていても、振り抜かれることが多く、彼が被安打を打たれるのは開きの早さが原因であると考えられる。 　課題に向き合っていかないと145キロ前後を計測していても、打ち込まれる事は十分に考えられ、思うようなピッチングが出来ないことも十分に考えられる。打ち難いフォームを追求すると彼の良さである鋭い腕の振りから投げ込む速球の魅力が失われることも考えられ、安易に打ち難さを求めるフォームにするのはお勧めできない。今は力のある速球をコントロール自在に投げ分ける投球フォームに追い求めてほしい。

将来の可能性

　以前よりも投球自体は纏まりが出てきた。曲者ぞろいで研究が長けた千葉経大附打線に被安打9を打たれながらも、3失点にとどめたのが成長の証であろう。 　今後も140キロ台の速球投手に成長する可能性があるが、被安打が多くなりやすい傾向にあるので、打撃力が高まる夏の大会では不安があるタイプ。まだ不安を払しょくしたとは言い難い。夏までに相手を抑えるために投球術、間の取り方、変化球等を追求して、投手としての総合力を高めていきたい。