渡邉 隆太郎選手 (帝京)

渡邉 隆太郎

球歴:帝京

都道府県:東京

ポジション:投手

投打:左 / 左

身長:180.0 cm

体重:89.0 kg

学年:卒業

寸評

 左腕投手ならば関東地区では3本の指に入る逸材なのが渡邉 隆太郎ではないだろうか。鳴り物入りで入学したが、当時は肥えた体型で、活躍していけるのかとても不安を覚えたが、一年毎に着実にステップアップしていき、今では2年前と比べ物にならないぐらい安定感のある左腕に育った。投手としての馬力の大きさ、ストレートの威力、変化球の精度、制球力は高校生としては標準以上で、今年の東京地区の注目投手に入ると思っている。ただスカウトの表立った動きは少なく、高卒プロで取る投手ではないのか? それでも良い投手であることは間違いないので取り上げていきたい。 (ストレート)   東都大学選抜戦では球速は138キロを計測していても、コントロールは不安定であったが、都立片倉戦では140キロ近いストレートを両サイドへテンポ良く投げ分けていた。右打者の内角へ食い込むストレートの球威は高校生としてはハイレベル。ドラフト上位候補に上がるような圧倒感のあるストレートではないが、勢いのあるストレートを打者にとって厳しいコースをしっかりと投げ分けるだけでも上出来だといえる。 (変化球)  変化球はスライダー、縦のスライダー、チェンジアップの3球種。横滑りするスライダー、ストレートのコンビネーションで有利なカウントに追い込んでいき、最後は縦に落ちるスライダー、緩く大きく落ちるチェンジアップを織り交ぜ、三振を狙っていく配球だ。 (クイックタイム・フィールディング)  彼は2年夏では1.2秒前後の標準のクイックを見せていたが、都立片倉戦ではクイックはせず、足上げ。ただランナーの目配りはしっかりしており、適度に牽制を入れて、ランナーを警戒していた。ただあまり盗塁をしない片倉だから盗塁企図は一度だけで済んだが、機動力を仕掛ける相手にはどう対策していくのだろうか。足上げのままで自分の球を投げる事を選択するのか。それも良い割り切りだ。下手にクイックをして、コントロールをしないならば、クイックをしないで、自分で投げるスタイルの方が良い。去年は出来ていたことなので、その辺が気になった。 (投球フォーム)  始動はセットポジションから。右足を真っ直ぐ高く上げていき、左足は真っすぐ立つ。一本足で立つことができており、軸がぶれずに上げることができている。一塁側へステップしていき、インステップ気味に着地する。ヒップファーストではなく、捻りを入れるフォームではないので、縦系統の変化球を投げるにはあまり適していない。  右腕のグラブを斜めに伸ばしていき、しっかりと右胸に抱え込んでいる。ただ右肩が正対するのが早く、開きは早いフォーム。テークバックは内旋。内回りでしっかりとトップを作って、角度良く振り下ろす。  気になるのはやや開きの早い動作と前足の送り込みが不十分で、打者からタイミングの取りやすいフォーム。投手として大事な柔らかさ・しなやかさ。柔らかさが見える投手と比較すると彼の腕の振りはやや硬いように見えるが、無理な身体の使い方をしているわけではないので、マイナスポイントには映らない。課題は前足の粘り・開き。前足の膝の送り込みが良くなっていくと溜めが出ていて一層、ストレートのキレが増していくと考える。
更新日時:2012.04.24

将来の可能性

 高校生左腕としては球速、切れ、コントロールは標準レベルにあり、高卒プロを意識出来るストレートを投げられるまで後一歩というところまで来ている。スカウト好みの柔らかさ、伸びしろがある投手ではなく、体格はかなり完成されているので、肉体的な伸びしろよりも、実績・実戦力を重視しているのかもしれない。となると、まだ彼が残した実績というのは甲子園出場1回で未勝利。高卒を意識するならば物足りなさを残す。  今のままならば大学・社会人で実績を残してからプロを目指すというのが規定路線。本気で目指すならば、今よりも更にレベルアップし、厳しい修羅場を潜り抜ける精神力の強さも求められる。個人的には関東では3本の指に入る左腕として上げられる素材ではないだろうか。他の投手にはない体の強みを生かしたパワフルなピッチングを披露することを期待したい。
更新日時:2012.04.24

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