戸田 隆矢選手 (樟南)
寸評
春季九州大会の興南高校戦(2010年04月26日)。細身の体格ながら、ミットにズドーンと突き刺さるストレートに魅了された投手。その時の球速は、MAX88マイル(140.8キロ)を記録、2年生の春の時点では、破格の球速を魅せていていた。その戸田は、今や最速148キロまで到達したと言う。夏の鹿児島大会・枕崎戦、再び彼の投球を確認してみた。 ストレートを投げ込む時に、やや力みから腕が突っ張る傾向にある。それでも勝負どころでの勢いは、やはり全国の左腕でも屈指のレベル。ただその力み故か?その球筋は、かなり暴れる。ただこの投手の良いのは、もう一つの球種であるスライダーが、低めに横滑りして切れ込む点にある。このスライダーが、低めに集まっている時は痛手を食らい難いのではないのだろうか? まだまだ投球術・制球力に未熟さを残すものの、適度に試合をまとめることはできている。牽制も鋭いし、フィールディングも落ち着いている。クィックが、やや1.2秒台後半(基準は1.20秒)と、無駄な動作が多いものの、大型左腕故に小さくまとまって欲しくない気持ちもある。2年夏としては、充分なレベルだと言えるのではないのだろうか。
更新日時:2011.01.03
将来の可能性
やはり気になるのは、全国の舞台やプロを想定すると、ストレート以外に、まだ空振りを誘える球種に欠けるところ。そのため勝負どころで力んで甘くなったストレートを、狙い打たれたりする。本当の意味でのストレートのコントロールと武器であるスライダーなどに磨きをかけ、空振りを取れる変化球を磨きたい。 投球フォームも、下半身が使い切れず粘りに欠けるため、どうしても一辺倒な印象は否めない。ピンチになると身体が突っ込み、「イチ・ニ・サン」のタイミングで、打者は待っていられるタイプ。ここに「イチ・ニ~のサン」の「ニ~の」粘りが出てくると、打者も相当焦らされるはず。この着地までの粘りこそが、投球の肝となる。彼には、あえてこの肝にこだわった投球を目指して欲しい。上手く一冬越えて伸びてくれば、2011年度全国No.1左腕の称号も、けして夢ではないだろう。
更新日時:2011.01.03
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