歳内 宏明選手 (聖光学院)

歳内 宏明

球歴:聖光学院

都道府県:福島

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:181.0 cm

体重:72.0 kg

学年:卒業

寸評

「進化を続ける伊達のドクターK!」 今年の甲子園で一躍、注目を浴びた投手は聖光学院・歳内宏明だろう。初戦の広島広陵戦(2010年08月12日)では完封。3回戦(2010年08月16日)では履正社を2失点完投勝利に挙げた。 甲子園で活躍したことで自信を深めたのか。秋季大会では圧巻の投球。 白河戦では20奪三振。先日の国体では土岐商業(2010年09月16日)に2安打11奪三振の完封勝利を挙げ、さらに彼の評判は高まっている。 新進気鋭の伊達のドクターK・歳内宏明を取り上げたい。 (投球スタイル) マックス 142キロ 常時135キロ~141キロ スプリット 120キロ後半 フォーク  120キロ後半 スライダー 120キロ前後 カーブ  右スリークォーター気味から投げる直球は常時135キロ~140キロをコンスタントに計測する。キャッチャーミットに「ズシン」と響かせる球威のあるボールは今年のドラフト候補に挙がっている右投手とひけをとらない。ただストレートでは高めに浮くことも少なくなく、要所ではアウトローにきちっとしたボールを投げ込むことができているが、消耗度が高いフォーム+握力が失いやすいフォークを多投しているので、回を追うごとに高めに浮いてしまっており、ボールの威力がなくなってきており、ひやひやさせるものがあった。 変化球はスライダー、スプリット、カーブ、フォークを投げ分けていく。今年マスターしたスプリットは完全に自分のものにしており、カウントに応じて落差を変えることができるので、三振を奪うスプリットはフォークと見ていいだろう。この魔球によって三振を面白いように奪っていたが、スプリットに頼ったままでは故障する可能性は高いと思いながら見ていた。本人も自覚し始めたのか。国体の投球を見て変化が現れた。決め球はストレートとスプリットというベースは変わりないが、スライダー、カーブの割合が増えた。カーブの割合を増やしたことで、ストレートを速く見せられるようになり、スライダーの割合を増やしたことにより横の変化も意識させた。縦の変化を使いこなす実戦的な投手であったが、横・緩急を混ぜたことで更に実戦的な投手に成長を遂げた。カーブ、スライダーが上のレベルでも使える球種になれるかはまだ分からないが、少しずつ脱却している印象は受ける。 (クイックタイムなどなど) クイックタイム。ストレートは1.1秒台、変化球は1.3秒台。フィールディングは軽快。投げ終わった後の動きが素早く、捕ってから投げるまでの動作も無駄がない。牽制も鋭く、全体的にセンスを感じさせる。 (打者の攻め) ・右打者 右打者に対しては両サイドにストレート、スプリット、スライダーをテンポ良く投げ分けるスタイル。ストレートが高めに浮くことが多く、要所ではきちっとコントロールされているが、気を抜くとストレートを置きにいく傾向があって怖い。ボールが多いが、何よりスプリットが失投することなく、ほぼ高確率で決まるので、抑えることができている。国体ではスライダー、カーブも織り交ぜるようになり、投球の幅は広がり、スプリット頼みから少しずつ脱却している印象を受けた。 ・左打者 外角中心にストレート、変化球をテンポよく投げ分けるスタイルだが、広陵の丸子に対してはスライダー、スプリットを両サイドに投げ分けて追い込んで、最後はスプリットで三振を奪った。スプリットのおかげで投球の幅が広がり、強打者に対しても打ち取れるレベルになった。 縦の変化を使い分ける投手だが、まだストレートが高めにいくことも少なくなく、ひやりとさせられることも少なくない。投球面において磨くのは「低めへの制球力」だろう。低めへの制球力を磨くにはどうすればいいか。それはスプリットを投げる比率を少なくすることだ。 (投球フォーム) ノーワインドアップから入って、真っ直ぐ左足を上げていき、左足をショート方向に伸ばして着地していく。グラブを横に切るので、開きは早いので、出所は見やすいか。テークバックでトップに入ったときは右ひじが下がり、そこから高い位置から振りおろしていくので、負担が大きいのは否めない。この投手、アーム式のように見えるが、肘を使うことができているので、球持ちは良い。そして力強い腕の振りができており、スピンのかかったボールを投げ込むことができている。 "
更新日時:2010.10.05

将来の可能性

縦の変化を使う投球術を高校生の段階で確立しており、横と緩急も交えたので、投球術に注文をつけることはほとんどない。 気になるのは故障の危険性。この投手は腕をちぎれんばかりに振る投手。そして縦変化を多投するので、肩、肘にかかる負担は大きいはず。 彼はとても体が丈夫でスタミナもある投手ではあるが、細心の注意を払ってもらいたい。 実戦的な投球ができる投手なので、あと求めるのはストレートのスピードということになるのだが、数字よりもキレ。 スプリットに頼らなくても抑えられる圧倒的なストレートを身につけてもらいたい。それを目指すことが彼の目標である全国制覇に一歩近づくことになるはずだ。 甲子園で広島広陵、履正社といった強豪を打ち破った歳内。優勝候補と目される学校と地元の学校を破ったわけだから注目度が断然、違う。 しかし注目されることに歳内は天狗になる様子はない。それは興南という本物の横綱チームに対峙したことで上には上がいるということを痛感したのではないだろうか。 終始、クールな表情を見せる彼だが、打倒・興南へ向けて燃えている。 現状に満足せず、更に高みを目指す伊達のドクターK。全国制覇を目指すために妥協は許されない聖光学院という環境ならば彼は更に凄味を見せた姿となって甲子園に戻ってくれるはずだろう。
更新日時:2010.10.05

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