吉川 大幾選手 (PL学園)

吉川 大幾

球歴:PL学園

都道府県:大阪

ポジション:遊擊手

投打:右 / 右

身長:176.0 cm

体重:68.0 kg

学年:卒業

寸評

2010年度の高校生の野手の中でも、その注目度は現時点でNO.1。あのPL学園の先輩・立浪和義(中日)の高校時代と比較されることも少なくない上位指名確実と言われる大物選手を、今回は取り上げてみた。 (第一印象) 正確に言うと、昨年も春季大阪大会や福岡県の招待試合で、彼のプレーを生で観戦している。ただその頃は、下級生と言うこともあり、好い選手だなと単純に思ってみていた。しかし最終学年となると、その見方は完全に長所を探す目から、欠点・課題を探す厳しいものに変わる。そんな目でみた、吉川 大幾 は、どのように見えたのだろうか? パッと見、体も中背だし、その雰囲気からは、高卒でプロに行くような雰囲気を漂わしてはおらず、ごく普通の高校生と言う印象を受ける。何故そう感じたのか?少しずつ検証してみたい。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、4.3秒強ぐらい。これを左打者に換算すると4.0秒強ぐらいに相当する。通常プロの基準となるのは、左打者換算で4.2秒ぐらい。そう考えると、充分にプロでも通用する脚力であるように思える。実際にトップスピードまでの加速も早く、プロに混ぜても俊足の部類だろう。ただプロで足を売りにするとなると、塁間を3.8秒前後の脚力に、高い走塁センス・盗塁できる勇気が求められる。そういった意味では、プロで足を売りにできるほどのものがあるのか?といわれれば、そこまでのスピードはないと判断する。 昨夏までは外野手だったわけだが、秋からショートにコンバートされた。遊撃手として見るのは始めただったわけだが、打球への反応・フットワークの動き・グラブ捌きの柔らかさ・動作のスピード感などを観ていると、球際などは悪くないが、ドラフト候補としては平均的なレベル。それだけに、プロで遊撃手と見るのは厳しいだろう。将来的には、二塁ができれば大きいが、三塁か外野手あたりが、その守備力・身体能力的にも適当だと思われる。ただプロの世界で、これらのポジションを担うには、ある程度の長打力が求められる。 また地肩に関しても、外野手としては結構強そうに見えたが、遊撃手としては平均的なレベル。けして強肩で魅了するような圧倒的な地肩の持ち主ではない。守備・走力共に、プロ売りにできるほどの絶対的なものはなく、この点では高校生でありながら、全国のアマチュアで一番上手かったのではないかと(大学・社会人含めて)、当時思わせてくれた立浪とは格段にレベルの差を感じる。 (打撃内容) 吉川は、けして体も大きくないし、実際の打撃を見ていても、長距離打者と言うよりは、広角に打ち返す中距離打者のイメージが強い。今のプロ野球界で言えば、長野久義(巨人)を更に、小さくした感じの選手だろうか。 ボールを捉えるセンス・甘い球を逃さない鋭さ・打撃技術の高さ・広角に打ち返し、緩急にも強い幅の広い打撃・プロの基準レベルのヘッドスピードなどなど、高校生としては、すでに完成度の高い技術を持ち合わせている。逆に言えば、強打者としてのスケール・今後に向けての伸び代を感じさせてくれる部分には乏しく、素材としての面白味にも欠けると言う感じもしなくはない。確かに好い選手なのだが、それが高校生としてなのか?プロに混ぜてもそうなのか?と言われると、非常に疑問を持たざるえない部分なのだ。 <意識づけ> むしろ高校生に求めたいのは、完成度の高い技術よりも、圧倒的な肉体のポテンシャルと、プロで飯を食って行こうと言う気構えである。そういった意味では、ネクストバッターボックスでも、相手投手の投球を見つめてはいるが、何処まで考えているのかは微妙な感じ。打席に入るまでの素振りなども、あまり意図を持って振っている感じは受けなかった。また打席のラインを踏まないきめ細かさは感じられるものの、足場の慣らし方などを観ていると、それほど打撃に、こだわりはないのかなと言う印象を受ける。甘い球を逃さない集中力は感じられるものの、まだまだ言われたことはしっかりやっても、自分で何かを見出し切り開いて行こうという、プロ意識や精神の成熟さは感じられず、強豪大学や社会人でもう少し揉まれてからプロ入りした方が、この選手は好いのではないかとさえ思えてくる。
更新日時:2010.06.11

将来の可能性

 極めて身体能力が高いわけでも、体格にも恵まれているわけでもない。それでいて技術は高くても、意識が特別高いわけでもない。ボールを飛ばす天性の才能とか、ボールを捉える非凡なセンスなどが感じられるタイプではないので、私は、どうしてプロがそこまで騒ぐほどの選手なのか?正直よくわからない。 一つ間違えれば、プロで何の特徴も見いだせない中途半端な選手。そんな選手に埋もれてしまう可能性すら感じてしまう危うい存在。私には彼が、高校からプロに入る選手には残念ながら見えなかった。夏まで追いかけたいとは思うが、今のままならば、あるいは今後確認できないで終わった場合、私はプロ入りの時期ではないと評価するだろう。最後の夏は、一つモノの違いを見せつけて欲しい!
更新日時:2010.06.11

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