試合レポート

習志野vs星稜

2019.03.28

頭脳的で気迫の強さも伝わった習志野が優勝候補・星稜を撃破!

 優勝候補・星稜と試合巧者・習志野の一戦。習志野のしたたかさと気持ちの強さが優勝候補を打ち破った試合となった。

 習志野の先発は右アンダーの岩沢 知幸。110キロ前後のストレート、カーブ、スライダーを投げ分ける技巧派右腕で、1回裏は無失点で切り抜ける。しかし2回裏は8番岡田の適時打を浴びて降板。小林徹監督は岩沢について
「岩沢については打順の1周り持てばいいかなと思っていました」と起用法を説明し、その上で「彼は最大限の仕事をしてくれたと思います」と評価した。 

 そして2回途中からエース・飯塚 脩人が登板。飯塚はスタミナ切れを気にしないぐらい飛ばしていた。ストレートのスピードは常時140キロ~146キロを計測しており、そのストレートは今まで投げた中で伸びがあった。そのストレートに星稜打線は沈黙した。飯塚は「根本(翔吾)が途中でベンチに下がったので、勝って次の試合でグラウンドに立たせたい。そういう思いで投げました」
 習志野ナインはエースの気迫に応える。4回表、二死一、二塁の場面で6番竹縄 俊希がスライダーを捉え右前適時打で同点に追いつく。

 習志野打線は奥川対策としてバットを短く持つこと。その上で何を絞るかは選手たちに任されていた。竹縄自身、「あの時はスライダーを打ったんですけど、ヒットになったのは強い気持ちを持って食らいついたと思います」

 さらに7回表、8番兼子 将太朗がストレートをはじき返し右前安打。二死二塁のチャンスを作り、敵失から勝ち越しに成功する。

 エース・飯塚は気迫の力投。終盤になるとストレートは常時140キロ前後から135キロ前後まで落ち込んでいた。それでも強い気持ちは保ち続けていた。
「僕がスタミナがないのは自覚していますし、スタミナが切れていたのは自覚していました。でも強い気持ちを持ち続けて投げました」

 その気迫が星稜打線を上回ったのだろう。135キロ前後のストレートに対し、星稜打線はことごとく詰まり、なかなか捉え切れていなかった。

 そして9回表、エースの気迫に応えたのが捕手の兼子だ。
「飯塚のために打ちたかったです」と奥川が投じたストレートを捉えた打球はレフトスタンドへ。大きな追加点となった。
「ストレートに狙いを絞っていて、うまく打てて外野の頭を超えるかなと思ったんですけど、入ってくれてよかったです」と笑顔を見せた兼子。昨秋は打率. 125に終わり、悔しい思いをした兼子は打撃強化をテーマに掲げ、練習に取り組んできた。「スイングスピードは速くなりましたし、以前よりもボールを長く見れるよになりました」と手ごたえをつかんで臨んだセンバツだった。このセンバツでは構えがシンプルになり、以前より構え遅れがなくなったことが好投手攻略につながった。

 そして飯塚は9回も抑え、見事に優勝候補・星稜を破り、ベスト8進出を決めた。飯塚の力投に小林監督は「かなり気合が入っていたので、それが空回りしないことを祈っていましたが…。良く投げてくれましたし、100点満点のピッチングでした」と手放しで絶賛した。

 習志野は堅い守備を見せ、星稜ナインの心理的な隙をついて、巧みな走塁で得点をもぎとり、また牽制で走者を刺すなど最後まで冷静だった。そして、絶対に負けたくないという執念がこもった投球と打撃。習志野の戦いぶりは頭脳的でありながら気迫の強さも伝わってくる。それが両立して、強者を破ることができるのだ。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

「指導者はどこにいる?」九里学園(山形)が 選手主体の”考える野球”で成果着々

2024.05.09

【福島】10日に県大会抽選!聖光学院は春4連覇をかける<春季県大会>

2024.05.09

【岩手】10日に県大会抽選!花巻東は6大会連続V狙う<春季県大会>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.03

【埼玉】春日部共栄の「反撃」なるか、5年ぶりの関東切符狙う<春季県大会>

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.03

目指すは世界一!代表候補の座を射止めた6人の逸材たち

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>