試合レポート

浦和学院vs仙台育英

2018.08.13

浦和学院が仙台育英に快勝!5年前の因縁の相手にリベンジを果たす!

浦和学院vs仙台育英 | 高校野球ドットコム

 浦和学院にとって仙台育英は春夏連覇を狙った5年前、初戦で敗れた因縁の相手。雪辱しようという執念が1回表の攻撃によく見えた。四球で歩いた1番・中前祐也(2年)を2番打者がバントで送ろうとするが失敗。1死一塁の場面で打席に立った3番・蛭間拓哉(3年)が1ボールからの2球目低めストレートをしっかり上から捉えてセカンドの頭をライナーで超えるライト前ヒットを放ち一、三塁、さらに4番打者の3球目に二盗に成功して二、三塁とし、2死後、5番・佐野涼弥(3年)が138キロのストレートを右中間に弾き返して2人の走者を迎え入れた。

 ここまでの中のどこに「雪辱しようという執念」が見られたかというと、1回の1~6番までの各打者が見逃したストライクは全27球中3球だけ。さらに蛭間の二盗にも攻撃的精神が垣間見られた。試合前、選手たちは5年前に敗れた仙台育英戦の録画を見たという。先輩たちの痛みを自分の痛みに置き換え、死に物狂いでボールに向かっていくという精神はこういう部分によく表れる。2回は三者三振に倒れるが三振はすべて空振りで、ストライクの見逃しは1つだけだった。

 打者走者の全力疾走にも見るべきものがあった。私が俊足の基準にする「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」をクリアしたのは4人6人(仙台育英は3人5人)。例年、浦和学院はこれほど走らない。

 投手に目を向けると、先発の渡邉勇太朗(3年)が素晴らしかった。左肩の早い開きを抑え、投げ始めから投げたボールがキャッチャーミットに収まるまでの投球タイムが約2秒。このゆったりとしたフォームからストレートは最速149キロを計測し、カットボールを含めたスライダー系にバリエーションがあり、コントロールも抜群だった。

 南埼玉大会から評判で私は準決勝の聖望学園戦のピッチングを見たが、このときはストレートが143キロ止まりで、変化球もこの日ほどキレがよくなかった。4万1000人が押し寄せた甲子園の雰囲気が渡邉の成長を促したと言ってもいい。もし渡邉がドラフト会議前にプロ志望届を提出すれば2、3位くらいの上位指名があってもおかしくないと思っている。

 仙台育英では先発の田中星流(3年)が面白かった。ストレートは最速140キロで今の高校野球では速い部類に入らない。実際に1回は捉えられるのだが、そこからの投球の変化が目を引いた。1回から2回にかけて浦和学院の下位打線から4者連続三振を記録するのだが、その結果球がフォークボールを思わせる激しく大きく落ちる変化球。どうもそれはカットボールらしいのだが、これを初球から投げ、勝負球でも投げるという徹底ぶりで浦和学院の強打線を惑わせた。

 結果は2回3分の2を投げ4安打、4失点で降板するのだが、ストレートを中心に投球を組み立てるという高校野球における前提が崩れかけている様子が見て取れる。

(記事=文:小関 順二

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.11

名門・東海大相模の進路紹介!プロ注目打者は東洋大、エースは中央大で早くもリーグ戦に出場!

2024.05.11

【2024年最新版 スーパー中学生リスト】 関東地区の強豪校注目の遊撃手、高校スカウト殺到の大型左腕、中村剛也の長男など38人をピックアップ

2024.05.11

【新潟】プロ注目右腕の帝京長岡・茨木が完封、日本文理とともに決勝進出<春季県大会>

2024.05.11

シニア日本代表が発表!選抜大会準優勝の主力打者、ベスト4の主将、優秀選手などが選出!

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【関東】山梨学院と常総学院がそれぞれ優勝、出場校の対戦が確定<春季大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>