日本学園vs國學院久我山
粘りの日本学園、8回山口の決勝犠打で逆転勝利
決勝の犠飛を放った山口(日本学園)
夏は第1回大会から参加している伝統校の日本学園は、1981年に西東京大会の決勝戦に進出した。その時、日本学園を破り、夏の甲子園大会初出場を決めたのが、國學院久我山であった。3年前の秋も両校は対戦し、國學院久我山が勝ち、昨夏の西東京大会の5回戦でも対戦し、11対1で國學院久我山が圧勝している。
対戦成績でも分がある國學院久我山は、日本学園の先発・二里木勇人を攻め、1回裏に5番・丸谷浩太郎の二塁打などで2点を入れ、2回裏も2番・原駿介の二塁打などで2点を追加し、4対0。國學院久我山がコールド勝ちの気配すら感じる、一方的な展開になった。
しかし、「立ち上がりは良くないのです。でも点を取られて、むしろ冷静になりました」と、日本学園の高橋裕輔監督が言うように、日本学園は、3回以降は走者を出しながらも、得点を許さない。
一方、國學院久我山の先発、左腕の菅谷悠太は、1回表は一死一、二塁、3回表は無死一、二塁とピンチを迎えるが、いずれも併殺で切り抜ける。菅谷のペースになりかけたが、4回表、この回の先頭、日本学園の3番・溝口晧平がレフト柵越えの本塁打を放ち、日本学園が反撃の狼煙を上げる。
流れを呼び戻したい國學院久我山であったが、4回裏内野安打2本で一死一、二塁のチャンスをつかむが、併殺で生かせず、5回、6回は三者凡退に終わる。
日本学園に流れが行きかけた7回表、先頭の5番・大塚光希がストレートの四球で歩く。「あの四球が痛かったです」と、國學院久我山の尾崎直輝監督は言う。
先発の菅谷(國學院久我山)
その後、6番・山口将人の左前安打、7番・高木颯人のバント安打で満塁とし、先発投手の二里木に代わる、代打・高橋尚玄の二ゴロの間に、大塚が生還。さらに9番の五十嵐悠の二遊間のゴロを、二塁手が一歩及ばずはじき、その打球を中堅手も後逸し、2人が還り、同点に追いついた。
その裏、二里木に代わり登板した左腕の中島夏暉は、球は速くないものの、「コントロールが良く、大崩れしないし、タイミングを外すのがうまいです」と、日本学園の高橋監督が言うように、遅い球が、國學院久我山の焦りをむしろ誘う投球になった。
そして8回表日本学園は、3番・溝口、4番・井上丈伊の連打で無死一、二塁とすると、5番の大塚光がきっちりバントで送り、6番・山口がしっかり左犠飛を打ち、溝口が生還。基本に忠実な、無駄のない攻めで日本学園が逆転に成功した。中島は、8回、9回を無安打に抑え、5対4で日本学園が4点差をひっくり返し、逆転勝ちした。
試合後日本学園の高橋監督が、「ピッチャーが打たれながらも、粘り強く、落ち着いてやってくれました」と語るように、我慢を重ねた末の、後半の逆転劇だった。
一方、「序盤ポンポンと点が入り、雑になってしまいました」と國學院久我山の尾崎監督が言うように、序盤の4点で、無意識のうちに楽観ムードになったのは否めない。勝負は何があるか分からない。ちょっとした気の緩みが、勝敗を分けることがある。精神的にダメージのある敗戦であるが、だからこそ、良い経験だったとも言える。
「おごりが消えて、この敗戦を夏につなげたいです」と國學院久我山の尾崎監督は、夏への巻き返しを誓った。
(取材・写真=大島裕史)
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