試合レポート

嘉手納vs浦添商

2015.07.06

心・技・体、全てで相手を上回っていた嘉手納ナイン

 新チーム発足後の最初の県内公式戦となる昨年の新人中央大会。ベスト4を懸け熱い戦いを繰り広げた両者が、最後の夏でぶつかった。首里中真 慶大と並ぶ、沖縄県を代表するサウスポー天久 太翔と、まだ2年生ながらマウンド度胸抜群の仲地 玖礼を擁するとあって接戦が予想されたが、攻守で嘉手納が相手を上回るプレーを見せベスト16へコマを進めた。

 嘉手納は1回裏、先頭の古謝 脩也が右中間ライト寄りへの二塁打で出塁すると、続く仲井間 光亮は三塁側に転がす送りバント。キャッチャーの阿波 連光が大きな声で「サード!サード!」と、打球を処理にかかった天久へ指示した。浦添商ナインどころか、球場へ駆けつけたファンも含めて殆どの人が、バント失敗と映る光景だった。
しかし、サードに滑り込んでいるはずの古謝は、セカンドへと戻っていた。古謝がスタートを切っていた、そう見えたからこそのサード送球の指示だったが、それを瞬時に判断してセカンドに戻った古謝のプレーに、浦添商内野陣は翻弄された。

 その僅かな動揺は、数々の修羅場をくぐり抜けてきた天久といえども、制することは難しかったか。無死一・二塁から大城 哲汰にレフトの頭上を越えるタイムリー二塁打を浴びてしまう。その後、二死の場面で上地 泰雅の当たりはショートゴロだったが、バウンドに合わせることが出来ず痛恨のタイムリーエラーで浦添商は、新人中央大会と同様、初回に2点を失ってしまった。

 だが、ここから天久は粘りを見せる。4回にも無死から連打を浴びた天久だったが、力強いストレートで後続の三人を内野フライに打ち取るなど三塁へは進ませず、我慢のピッチングで味方打線の援護を待ち続けた。
浦添商は、6回に死球で出塁した上原 琉希が盗塁を仕掛け、キャッチャーの悪送球を誘い初めて三塁を陥れる。最終回にも、二死と後がなくなったが、與儀 隆一大城 匠に連続ヒットが生まれるなど諦めない姿勢を見せたが、あと1本が出なかった。

 嘉手納の仲地は6回二死三塁の場面で後続をセカンドゴロ、9回のピンチでもショートゴロのフォースアウトに打ち取るなど、終始落ち着いており、首里戦(試合レポート)と同じく全く危なげないピッチングを披露し、5安打完封勝利。浦添商打線のタイミングを狂わせる緩いチェンジアップを有効に使い、連続イニング無失点を16に伸ばした。
また、4回と7回に浦添商が見せたディレードスチールに対しても仲地本人はもちろん、野手陣もしっかり声を掛け合うなど、自分たちのペースで自分たちの野球を貫き通した心、技、体で嘉手納浦添商を上回っていたゲームだった。

 次は選抜出場校の糸満が相手。一番厳しい戦いを強いられる嘉手納だが、逆にそれを楽しむかのようなノビノビ野球はファンにとっては魅力であり、相手には脅威と感じるかもしれない。

(文=當山 雅通

要チェックコラム!

僕らの熱い夏2015 【動画】 県立浦添商業高等学校(沖縄)

僕らの熱い夏 2015
第97回全国高等学校野球選手権大会
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.15

獨協大の新入生に専大松戸の強打の捕手、常総学院のサード、市立船橋のトップバッターが加入! 早くもリーグ戦で活躍中!

2024.05.15

【島根】出雲商-三刀屋、大田-益田東など初戦から好カード<地区大会組み合わせ>

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?