試合レポート

西脇工vs市川

2013.07.23

西脇工・翁田が10奪三振完投勝利で5回戦進出

 この試合の注目は西脇工翁田 勝基(3年)だ。最速140キロを誇る右の本格派として兵庫県内で注目を浴びる一人である。

 確かに体つきを見ると、腰回り、お尻の大きさはドラフト候補として注目されているのが伺える。投球フォームは独特だ。体は沈みこませるが、お尻から落としてひねりを入れて上半身から降り下ろすようなフォームではなく、横回転気味の体重移動で投げ込む投球フォーム。常時135キロ~140キロは計測しており、勢いのあるストレートを投げ込んでいる。
 そして彼はコントロールが実に良い。内外角、低め、高めの釣り球を意図的に投げ込んでいる。縦横2種類のスライダーを投げ分け、ほぼ完璧に封じる投球を見せる。恵まれた体つきを見ると力感あふれる本格派とイメージしていたが、制球力が優れた実戦派右腕という印象を受けた。

 対する市川の先発は背番号9の植木 芳匡(3年)。背番号1の藤本 裕夢(3年)が投げられない。初戦の7月17日には登板をしているが、17日から22日までの間にアクシデントがあったのだろう。彼が松葉杖の状態で声援を送っている姿を見たからだ。最後の夏で怪我で投げられないつらさ。本人にしかわからないつらさだろう。先発の植木だが、直球、スライダー、カーブを丁寧に投げ分けてしっかりと抑えこむことができている。植木は6回無失点の好投。また植木をもり立てる4番キャッチャーの原田 喬(3年)は翁田の速球にくらいつき、安打ではないが、鋭い打球を見せている。そして2.00秒前後の強肩もあり素晴らしい選手だ。

 7回からリリーフの尾上 昂央(3年)にバトンタッチ。6番森下 幾矢(2年)がレフトの頭を超える二塁打、7番西澤 諄(3年)の犠打で一死三塁のチャンスを作り、8番石井 智樹(3年)のスクイズで1点を先制。二死となって9番井上 功大(3年)が四球で出塁、1番今井 哲也(3年)が右前安打、2番高見 直樹(3年)がレフト超えの長打で二者生還し、3対0。さらに3番山中 竣平(3年)が左前安打を放ち、高見が生還。4対0へ。

 7回まで無失点の好投を見せていた翁田。この試合、最大のピンチを迎える。8番中森 直都(3年)に中前安打、9番栃尾 昌樹(3年)がセーフティバントが決まり、無死一、二塁のチャンス。1番植木は三ゴロ。まず三塁を踏んでアウト。三塁手は一塁へ投げたが、暴投となり、結果的に一死二、三塁となる。2番上田 旺輝(3年)の四球で一死満塁。3番若松 亮太朗(3年)の二ゴロで1点を返すが、反撃は1点止まり。

 そして翁田が9回を締めて完投勝利。5回戦進出を決めた。常に集中力を乱さずに投げ抜いた。ただ速球が速いだけではない。制球力も優れ、しっかりと投球が組み立てられる投球術があるからこそここまで勝ち抜いたのだろう。5回戦に進出した西脇工加古川西と対戦する。

(文:河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.15

【島根】出雲商-三刀屋、大田-益田東など初戦から好カード<地区大会組み合わせ>

2024.05.15

獨協大の新入生に専大松戸の強打の捕手、常総学院のサード、市立船橋のトップバッターが加入! 早くもリーグ戦で活躍中!

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?