試合レポート

日大三vs都立国立

2011.04.10

日大三vs都立国立 | 高校野球ドットコム

先頭打者本塁打を打った黒崎(国立)

日大三が持ち前の打撃力を発揮し、6回コールド!

選抜ベスト4の日大三都立国立の対決。
試合は1回の裏から動く。都立国立の1番黒崎が日大三の先発・関からレフトスタンドへ飛び込む先頭打者ホームランで1点を先制する。高めの直球をコンパクトに振り抜き、見事な先制攻撃であった。関はその後、無失点に抑えたが、リズムに乗れない。

2回の表、日大三は無死一塁から6番菅沼が高めの直球を捉えてレフトスタンドへ飛び込むホームランで逆転にする。しかし関は2回になってもリズムに乗れずにワンアウト1,2塁としたところで降板してしまう。
ここで日大三は甲子園でも登板した右サイドハンドの中野を投入。しかし、都立国立9番佐々木が中野の直球を捉えて左中間を破る二塁打!二塁ランナーがまずホームインし、同点に追いつく。一塁ランナーも三塁を蹴ろうとしたが、ベースコーチがストップをかけて三塁止まり。判断が難しいところだが、彼らは挑戦せず安全策に出た。しかし決定打が出ずに同点止まり。日大三は救われた形となった。

そして、日大三の猛打が佐々木に牙をむいたのは4回表、日大三は高山のタイムリー、金子のタイムリー、さらに畔上の犠牲フライ、そして4番横尾の左中間を破るタイムリーツーベースで4点を入れ勝ち越しに成功。

そして6回にはミスも重なり、一挙6点を入れるビッグイニング。3回の裏まで2対2と接戦ムードだった試合を一気にワンサイドゲームにした。そしてその裏、中野が締めてゲームセット。日大三が順当にベスト8に進出した。

選抜帰りの日大三はプレーの精度、集中力は落ちずに猛打の日大三を発揮。
選抜帰りのチームは調子を崩しやすい傾向があるだけに持ち前の猛打を発揮しているのは評価に値する。
レギュラー陣の打撃力は生で観戦すればその凄味を感じる。3回まで2点しか取れない苦しい展開ながらもよく粘り強くヒットを重ねることができた。この試合ではエラーはなかった。やはり打撃を発揮するには守備が安定してから初めて発揮されるものであり、粘り強く戦う試合運びを見せれば流れを持ちこめるのだろう。
日大三は吉永を登板せず、控え投手を登板させ経験を積ませている。ここまで中野、関、田中が登板。二番手投手を争うサバイバルレースも行われている。さらにチームを形づけるためにこの春は勝ち進む。


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関悠平(日大三)

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先発の関悠平(左/左 185センチ78キロ)はまるで山崎福也を彷彿とさせるような長身のスリム左腕。
本日はリズムに乗る前に降板してしまったが、体格と素質は光るものを感じられる。
ただ現状では一皮むけるには少し時間がかかる印象を受けた。期待の大型投手がどのタイミングで覚醒するのか。この投手次第で日大三投手陣は更にスケールアップするだろう。

二番手の中野将(164センチ67キロ 右・右)はリリーフとして奮投。
三回以降は無失点に抑えた。この試合は尻上がりにストレートの勢いとスライダーのキレが増していったが、やや投球が単調になり6回の裏には連打を浴びたところは改善の余地がある。この投手にはしっかりと打者に向かって投げている気迫が見えるし、用いる技術で抑えようとするのがひしひしと伝わった。厳しい見方もする人も多くいる。ただこの男の表情を見れば、夏では頼もしい戦力になる予感はさせてくれた。

甲子園で不調だった横尾俊建は左中間を破る二塁打とセンター前ヒットと復調傾向。
甲子園でも今日のような丁寧な打撃を披露してほしかったのだが、とにかく甲子園の不調を引きずっていなくて一安心だ。また腰を深く落とすことができないタイプなので、フットワーク、ハンドリングを重視した守備。難しいショートバウンドをシングルで捕球し、ランニングスローでアウトにするプレーは素晴らしかった。ランニングスローするとたいがいの高校生は送球が乱れ、弱くなるのだが、ダイレクトで送球できるのを見ると肩は相当強い。更に調子を上げることができるか注目だ。


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高山俊(日大三)

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ライトの高山俊は2安打。ボール球に手を出して内野ゴロになってしまう雑な打撃も見えるのだが、しっかりと修正して2安打打ったのは見事だ。彼の魅力はなんといっても肩の強さ。昨年よりもスローイングの精度は上がっており、高校生としてAクラス。ラストサマーまでドラフト候補として追いかけていきたい選手であった。

都立国立佐々木崇(右/右 173センチ69キロ)と林 直人(右/右 180センチ74キロ)をピックアップ。
佐々木は捻りの入った投球フォームから常時130キロ前後だろうか。中々勢いがあり、驚かされた。変化球はスライダー、チェンジアップを混ぜて打たせて取る投球を見せる。

林は180センチの長身から上から振り下ろすオーバーハンド。速球は130キロ前後で、スライダー、縦のスライダーを織り交ぜた投球。まだコントロールは甘いが、上背もあって素材としては面白みがある。軸となる投手二枚いるし、打線も勢いがあって活発。夏まで力をつけられると強豪校を脅かす存在になりそうだ。

(文=編集部:河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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