試合レポート

東北vs金沢

2010.11.14

東北vs金沢 | 高校野球ドットコム

釜田(金沢)

豪腕釜田・神宮初舞台

神宮に剛腕が登場した。釜田佳直(右/右 177センチ72キロ)。
マックス152キロを投げる剛腕投手である。高校2年時に150キロをマークしていた釜田。
高校生だからまだ粗はあるだろう。しかしこの時期で150キロを投げるスピードスターは魅力的だ。
ネット裏には多くのスカウト、ファンが彼の投球を見ようと詰めかけていた。

 結果は3-0の敗北である。
しかし彼は前評判通りの投球を見せてくれた。
斎藤佑樹のように軸足に体重を乗せて、スリークォーター気味に投げ込む直球は常時145キロ前後・マックス150キロを計測。
初回に150キロを計測した。それ以降も140~147キロをコンスタントに計測。高校2年秋でコンスタントに140キロ後半を計測する馬力は素晴らしい。

尚且つ両サイド・低目へ投げ分ける制球力も併せ持っている。
しかし角度がないのか140キロ台後半のストレートを東北打線に振り抜かれているのが目に付いた。

そのため被安打は多くなってしまう投手なのだが、粘り強い投球を見せているのは低目への制球力が生きているといえる。

変化球は135キロ前後の高速スライダー、120キロ前後のチェンジアップ、115キロ前後のカーブを投げていく。スライダーの切れは中々なもの。
チェンジアップは落差があり、空振りを奪える。ただこの日のカーブは結構高めに浮くことが多かった。

クイックは1.05秒~1.15秒前後と非常に素早いクイックを見せており、フィールディングも良いし、ベースカバーも軽快。投球以外の面も鍛えられている。

 過去に神宮大会で150キロをマークした高校生は記憶にない。
ただ彼のストレートは分かっていても空振りしてしまう圧倒的なストレートでは、まだない。
だから150キロ右腕という称号を鵜呑みにして、捻じ伏せるような投球は期待しないほうが良い。
本人はそれを重々理解しているし、ストレートを見せ球にして、変化球を交えた投球が出来ている。
それでも怖いのは150キロの罠だ。選抜ではメディアから150キロ右腕として注目を浴びることになるだろう。
その期待にこたえようとしてスピード重視の投球に拘って彼の良さである粘り強い投球を忘れてしまうことである。
あとは150キロのストレートを速く見せるためにフォームの工夫・配球の工夫だけだ。
神宮ではストレートのスピードで観客を沸かせた。甲子園では勝てる投球で観客を沸かせてほしい。


東北vs金沢 | 高校野球ドットコム

上村(東北)

金沢を完封した東北高校の上村健人(右/左 183センチ89キロ)は投打の柱。
個人的には野手として適正があるタイプだと思っているが、投手・野手の両面を振り返っていきたい。

(投手)
右オーバーから投げ込む直球は常時130キロ~135キロ(マックス136キロ)を計測。際立つ球威はないものの、コントロール良く投げ分けることができている。
変化球は120キロ前後のスライダー、120キロ前後のシュート、縦のスライダーを投げ込む。
クイックは1.1秒~1.2秒台でまずまず素早いクイックは見せているし、牽制もそれなりに鋭い。
時折、ランナーに無警戒なときがあり、スタートの良いランナーでは盗まれやすいので気をつけてもらいたい点。
投球フォームを見ると開きの早さが目に付き、やや野手投げと思わせるものがある。
投手としての実力を伸ばしていくのなら筋力よりも体のキレを生むトレーニングをやっていくとストレートのスピードが速くなりそうだ。

(打撃)
本日は4打数3安打二長打と自慢の長打力を遺憾なく発揮した。まずファーストへの内野安打。センターフェンス直撃の二塁打、左中間を破るツーベース。
なんといっても左中間方向へ鋭い打球を飛ばせるのが彼の長所だ。
スクエアスタンスで構える姿は懐が深く、非常に雰囲気があって好い。

投手の足が着地したところから始動を仕掛けていき、足を小さく上げていきインステップしていく。
ヘッドを残しながら打つので変化球に合わせるのは上手いし、インパクトが強く捉えた打球の力強さ、弾道の高さはこの時期の高校生としては頭ひとつ抜けたものがある。
打撃の形は良く、打席内でも狙い球をしっかり絞りながら打席に入っており、意識の高さを感じさせる。

(まとめ)
将来性は野手の方に適正がありそうだ。形が良い打撃フォームには素質の高さを感じさせ、来年の選抜ではスラッガーとして大いに注目される存在になるだろう。
一冬の間に打撃を伸ばしてドラフト指名候補と推せるスラッガーにまで登りつめてほしい。

(文=河嶋 宗一)
(写真=高校野球情報.com編集部)
(写真img23~img44=中谷 明)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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