試合レポート

八戸学院光星vs創志学園

2022.08.07

八戸学院光星のクリーンアップは強力、右サイド投手を2巡目で攻略

八戸学院光星vs創志学園 | 高校野球ドットコム
八戸学院光星・野呂 洋翔内野手 ※写真は過去の大会より

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第104回 全国高等学校野球選手権大会

<第104回全国高校野球選手権大会:八戸学院光星7-3創志学園>◇7日◇1回戦◇甲子園

 岡山大会の決勝で力強い投球を見せていた右サイド気味の創志学園(岡山)のエース、岡村 洸太郎投手(3年)対八戸学院光星(青森)の右打者。この試合はこの対決が一つのポイントになると思っていたが、これほど八戸学院光星打線が鮮やかな「変身」を遂げるとは思わなかった。

 岡村は右サイド気味ながら最速147キロを誇る力強い直球と、横に鋭く曲がるスライダーを軸に打者を攻める。チェンジアップとカーブもあり、緩急をうまく使う。岡山大会の投球では右打者の外角への直球も切れ味もあり、高校生では簡単に打たれないという印象を受けていた。もちろん、右打者への内角へのナチュラルなシュート気味の速球もある。スライダーとうまく使い分ければ、これまた高校生では対応するのは難しいと思った。好打者が多い八戸学院光星の右打者がどう対応するのか、楽しみだった。

 岡村の立ち上がりは順調だった。1安打は許したが3回まで無失点。内角の直球と外角の変化球に、八戸学院光星の打線は沈黙した。しかし、それは1巡目までだった。

 2巡目に入ると別人のように対応し始める。4回1死一塁で2回目の打席に入った右打者3番・中澤 恒貴内野手(2年)が内角の直球を左前打にした。えぐるような内角球に、腕をたたんで腰をクルッと回転させる高度な技だった。2年生で八戸学院光星の3番を任されているのもうなずける。

 続く左打者の4番・野呂 洋翔内野手(3年)が変化球を右前適時打にすると、5番右打者の織笠 陽多外野手(3年)はスライダーを強振。打球は瞬く間に左翼の頭上を襲うライナーとなった。左翼手に好捕され犠飛となったが、マウンドにいた岡村は一瞬、ヒヤッとしたに違いなかった。このクリーンアップの2巡目での対応力を目の当たりにした岡村の胸の内は穏やかではなかったはずだ。

 その後、3番中澤は、さらに恐ろしい打ち方で追加点をたたき出す。5回の第3打席。外角のボール球にも見える直球に、バットをちょこんと当てるだけのような打撃で右翼線へ2点適時打を放った。内角球も見せられ、体が開いてもおかしくなかったが、体が反応した。岡村からすれば攻め方は間違ってなかったが、中澤のセンスがひとつ上だった。

 結局、3番中澤と4番野呂はともに4打数2安打2打点。5番織笠は安打こそなかったが、打点1をマークした。どんな球も対応してヒットにする中澤、パンチ力抜群で1発を秘める野呂、バットがしなるように見えるほどリストを効かせた打撃が身上の織笠。この3人が2回戦でも見られると思うとわくわくしてくる。

 試合はこのクリーンアップを中心にして7得点を挙げた八戸学院光星が快勝。夏の甲子園では初出場した1997年こそ初戦敗退だったが、2度目の出場となった2000年から初戦10連勝を決めた。

 今大会でも上位に入る右腕だと思っていた岡村は初戦で敗れた。甲子園でも140キロを超える力強い直球と、完全にタイミングを外すスライダーなどの変化球も見せた。岡村自身、持てる力は出したに違いない。それでも八戸学院光星の打線がちょっとだけ上だった。自分の長所を存分に生かして、上のレベルで活躍する岡村の姿を見たいと思う。

(文=浦田 由紀夫)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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