日体大荏原vs明星
幾度ものピンチを凌ぎきった日体大荏原の戦いに指揮官も満足
好投した米田(日体大荏原)
春季東京都大会は、関東地区では他県よりもいち早く4月の声とともに始まるのが恒例となっている。今年の春季本大会参加は112チームとなっている。秋季大会でベスト16に進出したチームが1回戦免除のシードとなり、1回戦が48試合組まれている。1回戦は、この3日間で消化されるという日程となっている。
ただ、前日の雨で、日程がいくらかずれ込みながら進んでいくこととなった。いずれにしても東京都の場合は、9日までの間に一気に日程が進んで、ベスト8が決まることになっている。だから、大会序盤に波に乗ると、一気に走ることもあり得る。そういう面白さもある。
昨年4月に、日体大荏原の監督に就任した相原健志監督。都立校の外部指導員としての立場で監督を務めた都立雪谷で実績をあげていた。都立雪谷を退任後、日体大の縁で系列校の監督就任となった。そして1年、かつては甲子園出場を果たしたこともある伝統校を任されたのだが、ようやく自分自身の思う野球の意図が伝わりかかってきたというところか。
日体大荏原の先発左腕・米田君は、初回先頭の梅田君に安打されたが、その後を何とか凌いだ。そしてその裏、明星の先発坂本君の立ち上がりを攻める。先頭の平田君が四球で出ると、すかさず二塁盗塁。バントで送って一死三塁とすると、3番山崎君が左中間に落として先制した。この1点を何とか守っていた日体大荏原は、どうしても欲しかった追加点を5回に奪う。
先発した坂本(明星)
この回、先頭の7番鈴木辰彦君が左前打で出ると、内野ゴロで三塁まで進めて、1番平田君が左翼線にポトリと落としてこれがタイムリーとなって2点目。さらに宮内君も安打して、二塁から平田君が本塁を狙ったがこれはアウト。しかし、積極的に足を絡めて攻めていこうという姿勢は十分に示していたので、相原監督としてはOKのアウトでもあったようだ。
そして8回には、先頭の9番大澤君が左中間二塁打して出ると、平田君のバントは俊足を生かして内野安打。すぐに二塁盗塁すると、その後に少し慌てたのか坂本君はボークを冒してしまい、三塁走者が帰る。さらに、宮内君も左前打して4点目。ここというところで、脚を絡めてシャープな打撃で攻め込んでいくスタイルは、相原監督のイメージにかなり近づいてきたようだ。
米田君は、4回の3者凡退以外は、毎回安打を許して11安打を浴びた。しかし、失点は9回に梅田君の右越二塁打で失った1点のみ。粘りの投球だったとも言えようか。
相原監督は、そんな米田君を評価していた。「キャプテンでもありますが、よく凌いだと思います。『オレが何とか抑えるから、頼むぞ…』みたいなこともベンチで言っていました。この冬には、身体も絞れてきて、持ち味のクロスボールも生きてきました。キャプテンシーもあるので、いい雰囲気を作ってくれています。投手は6人くらいベンチに入れているのですが、今日は一人で賄えたのも大きかった」という、背番号3の主将の力投、粘りの投球でもあった。
明星は、日体大荏原を4本も上回る11安打を放ちながらも、1点止まり。石山敏之監督は、「いくら打てても、繋がらないと、こうなってしまいますね。負けパターンでした」と、打線としてつながらなかったことを悔いた。それでも、1番梅田君は4打数4安打と気を吐いていたし、日体大荏原の平田君と共に、どちらも1番センターのリードオフマンの活躍は光った。
(取材・写真=手束 仁)
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