最速152キロ、緩急の投球見せた阪神・藤浪、大阪桐蔭ナインに先輩の意地見せられるか
藤浪晋太郎(大阪桐蔭出身)
今年はどちらの顔を見せるのだろうか。プロ野球阪神のキャンプでは、第2クール初日となった5日に、12球団トップを切って紅白戦が行われた。若手中心ではなく、主力級選手がスタメンで起用されていた。昨年はシーズン終盤で惜しくもリーグ優勝を逃した悔しさもある。リーグVに向け、異例の早めの調整を行う球団の本気度が表れている。
紅白戦の「開幕投手」には、昨シーズンルーキーながら10勝をマークした伊藤 将司投手(横浜高出身)と、今年プロ10年目を迎え「復活」を目指す藤浪 晋太郎投手(大阪桐蔭出身)がマウンドに登った。2回1安打無失点とまずまずの実戦スタートを切った伊藤将に対して、藤浪は佐藤 輝明外野手(仁川学院出身)に1発を浴びるなど2回2安打1失点だった。
藤浪は結果以上に、不安要素を感じさせる内容だった。それは初球から顕著だった。球速こそ148キロを計測したが、左打者の外角高めに大きくそれた。続く2球目も同じ球でボール。結局、四球で先頭打者を出塁させてしまった。
2回の先頭打者の佐藤輝にも同じように直球が外角高めに抜ける球が多く、ボール球に手を出してファウルにしていた佐藤輝に助けられたが、四球となってもおかしくなかった。フルカウントから4球ファウルされてからの外角高めの直球を左翼越えへの1発を浴びた。タイミングを合わせられた結果だった。
藤浪はプロ1年目から3年連続2ケタ勝利と華々しいスタートを切ったが、4年目からは2ケタ勝利はなし。細かい制球力はおろか、ストライクも取れない状態まで落ち込んだ。ここ2年は20試合以上に登板しているが、あのころの藤浪ではない。この日も、腕を振った直球の多くは高めに抜けた。時折、決まった低めの直球には置きにいっている印象はぬぐえなかった。
1回にロハスから空振りの三振を奪ったカーブが109キロと、大きな緩急をつけた投球は見せた。この時期では考えられない最速152キロを計測した。今季の活躍を予感させるような一面はのぞかせたが、低めへ糸を引くような直球を投げ込んでいた10年前の姿には程遠いように思えた。
大阪桐蔭時代は春夏連覇を遂げ、マウンドに君臨していた。あれから10年が経過した。昨年、海の向こうのMLBでMVPを獲得した大谷 翔平投手がいた花巻東(岩手)とセンバツ初戦で対戦して勝利。そこから春季大阪、近畿大会を制し、夏も甲子園決勝まで無敗を誇った。今年も後輩たちが優勝候補としてセンバツに挑む。先輩として、これ以上くすぶっているわけにはいかないだろう。
「完全復活」か「後退」か。藤浪の勝負はキャンプ序盤から始まっている。