センバツ32校 秋にコールドゲームが多かったチームは?
3月19日に開幕する第92回選抜高等学校野球大会。今回からは出場校の秋の公式戦の傾向を見ていきたいと思います。1回目は各チームのイニングについて。
サンプルとなるのは主催者指定の公式戦(秋季都道府県大会、秋季地区大会、明治神宮大会)です。まずは表をご覧ください。
甲子園大会は得点差によるコールドゲームがないため、1試合あたりの平均イニングを出すと必ず9以上になりますが、秋の公式戦は主に決勝を除いて得点差によるコールドゲームが設定されているため、コールドゲームが多かったチームほど1試合あたりの平均イニング数が9より少なくなります。
今大会出場32校のうち、31校がコールドゲームを経験(コールド負けも含む)しました。コールドゲームが最も多いのが中京大中京で、11試合でした。
逆に延長戦を経験(延長負けも含む)したのは13チームで、最も多いのは倉敷商業、広島新庄、大分商業でいずれも3試合。延長タイブレークを経験して出場したのは高崎健康福祉大高崎、倉敷商業、明豊の3校で、いずれも10回からタイブレークに突入する明治神宮大会でのものでした。つまり今回は甲子園でタイブレークになる延長13回以上を戦ったチームはないということになります。
次に32校で、1試合あたりの平均イニング数が少ない順を見ると、
1履正社 6.73
2大阪桐蔭 6.82
3鶴岡東 7.25
4帯広農業 7.29
となります。
夏の王者・履正社は秋の公式戦11試合中9試合がコールドゲームと点差的に圧倒的な強さを見せる試合が多かった印象です。大阪大会では1回戦から準決勝まで7試合連続コールド勝ち。7試合中、5試合が5回コールドでした。
この間、得点93、失点5と大勝してきたのがよくわかります。近畿大会でも2試合連続コールドで勝ち上がりました。結果的に勝利数9は全てコールド決着。延長戦は大阪大会決勝の大阪桐蔭戦1試合。9回決着は近畿大会準決勝の天理戦のサヨナラ負け1試合となっています。
大阪桐蔭も秋の公式戦11試合中7試合がコールドゲームで、大阪大会初戦(2回戦)から準決勝まで6試合連続コールド勝ち。この間の得点が82、失点が5とこちらも大勝しています。延長戦は大阪決勝の履正社戦1試合。9回決着は近畿大会準々決勝以降の3試合となっています。
鶴岡東は秋の公式戦8試合中4試合がコールドゲーム。帯広農業は公式戦7試合中4試合がコールドゲームでしたが、北海道大会準決勝は7回コールドで敗れ、残りは十勝支部予選で勝利した3試合でした。
11試合がコールドゲームだった中京大中京は、名古屋地区予選リーグの初戦から6試合連続コールド勝ちで、この間の得点が91、失点は8。相手が強くなる東海大会、明治神宮大会でもコールド勝ちを経験しているのが中京大中京の特徴と言えます。
逆に32校で唯一コールドゲームの経験がなかったのは磐城で、平均イニングは9.30。福島大会前のいわき支部予選準決勝の東日本国際大昌平戦で延長12回まで戦っていることが、平均イニング9をこえたことに繋がっています。
甲子園大会は得点差によるコールドゲームがないのでこの数字が選抜大会で意味を持つことはほとんどありませんが、投手の投球数制限(1週間500球以内)が実施されることなど昨今話題になっている投手の負担を考えると、得点差によるコールドゲームがある地方大会では、攻撃が頑張って得点して、できるだけ早いイニングで試合を終わらせることが投手を助けることに繋がると言えます。
そう考えると次の秋季大会での参考にすることはできるのではないでしょうか。当然、相手があるスポーツの野球ではうまくいくことばかりではありませんが・・・
(文=松倉 雄太)