試合レポート

岡崎学園vs富田

2019.07.06

8回の大ピンチを何とか凌いだ岡崎学園が、13年ぶりに夏の勝利

 いきなり岡崎学園は先頭の夏目君と加藤虎雅(たいが)君の連続二塁打で先制。さらに3回には、無死一塁に四球の細井君を置いてまたしても夏目君が二塁打し、送球がそれる間に生還して2点目。なおも二死三塁から、4番浦邉君が左越2ランを放って4点目。その裏失策絡みで1点を失いはしたものの、5回に夏目君以下、加藤君、相神君の3連打と浦邉君の左犠飛で再び4点差。

 そして、先発細井君は6回までは8三振を奪うなど、快調な投球で1点は失ったものの、わずか1安打に抑えていた。田中信宏監督も、「彼自身、高校野球をやってきて、これまでで一番いい投球だったのではないか」と、驚くくらいの出来だった。最後の夏に、ベストの投球が出来るということは、それだけ日頃の練習をきちんと真面目に積み上げて行ってきたという証でもあるのだろうが、そのことを見事に示した今日の細井君だった。

 ただ8回、「少し握力もなくなってきたようだし、そろそろ交代を考えようかな」と田中監督も思っていたが、そんな折に連続死球とボークもあって、「当初から予定していた」という気持ちの強い右翼手で主将の相神君を呼び寄せて、マウンドに送った。相神君は一死を三振で奪ったが、その後はバント処理を誤って満塁のピンチを作る。ここで富田は青山君、臼井君と1、2番が連打して2点を返してなおも一死満塁。一打同点、長打で逆転もありという場面となった。

 ただ、「苦しい場面で、走者を背負っての投球が出来るという投手」として田中監督が送り出している相神君。最後はその期待に応えて、三直併殺で逃れたのだが、野球の神様もどちらに味方しようか最後まで迷っていたというようなシーンだった。いい当たりの打球を三塁手の夏目君が好捕して、そのままベースを踏んでの併殺。抜けていれば同点という場面でもあっただけに、打撃も好調だった夏目君が、最終的に野球の神様を振り向かせて勝ちを呼び込んだというような好捕でもあった。

 そして、9回の岡崎学園は、3人目として2年生の山田優都君が登板。山田君は、力まず投げて、3人で抑えていった。
 岡崎学園は、田中監督が就任して3年目。今年の3年生とともに歩んできてチーム作りをしてきたのだけれども、夏の大会は13年ぶりの勝利ということになった。学校は、人間環境大学と系列校となっているが、前身は岡崎女子で、女子バレーボール部は強豪で知られており、春の高校バレーでは、記念すべき第1回大会の優勝校でもある。野球部は、グラウンドも狭く、内野のダイヤモンドが取れるかどうかという環境でもある。実質、実戦練習は毎週末の遠征の練習試合で確認していくということになる。そうした中でも浜松商出身の田中監督は、「個々の能力は高くなくても、きちんとした野球をやっていく」ということを徹底している。そんな成果が、ようやく、少しずつ表れてきたのかなと、そんなことを思わせる勝利でもあったと言っていいであろう。

 終盤追い上げた富田は、好機に好打が野手の正面を突くという不運もあった。それでも、チームとしてはひたむきにしっかり練習は積んできているなと言うことは十分に感じさせてくれるものだった。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】秋田修英と秋田工が8強入り、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?