試合レポート

成蹊vs多摩大目黒

2017.03.19

石井の投打にわたる活躍で成蹊、多摩大目黒を破り初戦を飾る

成蹊vs多摩大目黒 | 高校野球ドットコム

石井 成周(成蹊)

 春先は荒れた試合になることも多いが、成蹊多摩大目黒の一戦は、両投手の好投と堅い守りで、引き締まった好ゲームになった。
「立ち上がりに不安があるので、入りを丁寧にするよう注意しました」と、成蹊桑原 直樹監督は語る。その言葉通り、成蹊の先発・石井 成周は、初回多摩大目黒打線を三者凡退に抑える。

 その裏成蹊は、二死後四球と4番打者でもある石井の中前安打で一、三塁とする。ここで5番の安齋 優大は左翼に大きな当たり。これを多摩大目黒の左翼手・西川 颯人が好捕して得点を許さない。この試合、多摩大目黒は、内外野とも好守備が目立ち試合を引き締めた。

「秋はエラーで負けました。春に向けて、守備を鍛えてきました」と多摩大目黒眞弓 禎史監督は言う。その成果が試合に出ていた。投げては松元 颯太朗がスプリットなど落ちる球を効果的に使い、成蹊打線を封じる。

 一方成蹊の先発・石井は。
「(多摩大目黒が)初球から狙ってくるのが分かっていたので、初球からチェンジアップを投げたり、アウトコースギリギリを突いたり、丁寧に投げました」と言うように、少ない球数で、効率よく多摩大目黒打線を抑える。
多摩大目黒は5回表一死から7番・佐敷 祐太が右中間を破る二塁打を放ったが、三盗に失敗する。

[page_break:]
成蹊vs多摩大目黒 | 高校野球ドットコム

松元 颯太朗(多摩大目黒)

 6回表には、二死後2つの四球で一、二塁としたところで4番・國雲 博貴が左前安打を放ったが、本塁を狙った二塁走者が、三本間に挟まれる。挟殺プレーにやや手間取ったが、二塁走者はアウトになり、得点を挙げられない。「ランナーが三塁手とぶつかりそうになったようです。走塁練習もやってきたつもりですが、仕方ないです」と多摩大目黒の眞弓監督は言う。

 チャンスを逃すと、相手にチャンスが来る。6回裏成蹊はこの回先頭の2番・松井 亮典が死球で出ると、3番の岩田 圭司がしっかり送り、打席には4番の石井が入る。「甘いところには来ないと思っていました。スライダーに絞って、逆方向にコンパクトに打つようにしました」と石井は言う。その通り、2球目をコンパクトに叩くと、打球は右中間を破り、貴重な先制二塁打となった。

 さらに7番・佐合 荘彦の右前安打で石井も還り、成蹊が2点をリードする。
リードした後も、成蹊・石井のテンポの良い投球は続き、2対0で成蹊が勝利した。完封した石井の球数は88球。被安打5、四死球2の危なげのない投球だった。

 成蹊にとっては、対外試合での勝利は8月31日の練習試合以来だという。「よく我慢してやってくれました」と成蹊の桑原監督は安どの表情を浮かべた。都大会出場にはあと1勝が必要だが、今後への弾みになる勝利であった。

 一方敗れた多摩大目黒であるが、守りがしっかりした好チームであった。眞弓監督は横浜高校の出身。秋からの課題を一つ一つ解決しながら、チームを作っている。夏に向けての課題は、「0点では勝てません。走塁を含めた攻撃力を挙げていきたいです」と、眞弓監督。都大会出場は逃したが、これから成長する可能性のあるチームだ。

(取材・写真=大島 裕史

成蹊vs多摩大目黒 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.17

【春季関東大会注目野手一覧】超高校級のショートトリオ、健大高崎の強肩捕手など24人の逸材野手をピックアップ!

2024.05.17

【関東大会注目チーム紹介】13年ぶりの春季埼玉王者・花咲徳栄打線は超強力!ドラフト上位候補スラッガー・石塚を中心に県大会58得点!

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.17

【関東大会注目チーム紹介】選抜ベスト4の中央学院は投打ともに役者揃い!夏につながる試合ができるか?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?