試合レポート

青山学院vs豊南

2015.09.19

エース・中山の粘投と相手の隙を突いた質の高い野球で青山学院が都大会進出!

先発の近藤投手(豊南)

 初戦となったブロック予選2回戦で都立光丘をコールドで退けた青山学院と、1回戦からの2試合を危なげなく勝ち上がってきた豊南による好調なチーム同士の対戦。

 まず、マウンドに登ったのは豊南の先発・近藤。サウスポーから繰り出すスライダーにはキレがあり、特に左打者の外角低めに決まるボールには力がある。
しかし、その立ち上がりを青山学院が攻め込む。1回表、2番・友清が右前打で出塁し、二死後に盗塁を決めると、4番・中村が三遊間を破って先制。あっという間にリードを奪う。

 だが、豊南も負けていない。2回裏、4番・松本がライト前ヒットで出ると、2つの内野ゴロで三塁まで進み、7番・福島が左中間二塁打で同点。さらに、3回裏は青山学院の先発・中山の乱調に付け込み3四球で二死満塁のチャンスを作ると、5番・高橋がフルカウントからファウルで粘り、根負けした中山が死球を与えて押し出し。豊南は逆転に成功する。

 その後、両校とも一歩も引かない戦いが続くが、青山学院は5回表。先頭の友清がレフトオーバーの三塁打を放ち、3番・石野田が四球で一三塁にすると、中村が2本目の適時打を今度はライトに放って同点。5番・永嶋は四球で歩き満塁とすると、6番に入っているピッチャーの中山が三遊間に名誉挽回のタイムリーを放ち、今度は青山学院が逆転した。


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!東京都の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

熱投のエース・中山投手(青山学院)

 このシーソーゲームの流れをピタッと止めたのが、青山学院のピッチャー・中山。5、6、7回の3イニングで出したランナーは1人だけ。ストレート、カーブ、スライダーを投げ分け、粘り強いピッチングで豊南打線を抑えこんでいく。
実は、中山は腰に不安があるためエース番号は譲り、今秋は背番号7を付けているが「チームメートが『中山を先発させてください』と直訴してくるくらい、みんなの心の中ではエースです」と、安藤 寧則監督が話すようにチーム内の信頼は厚い。

 このエースの熱投に後押しされるように、8回表、青山学院は1番・中島がショートのグラブを弾くヒットで出塁すると、この試合3安打の友清が送りバント。さらに相手のエラーもあって、二死一三塁とすると、豊南・近藤の投球がワンバウンドとなり、キャッチャーがわずかに逸らしたところを中島が好走塁でホームイン。点差を2点とした。

「このプレーが大きかった。こういった接戦を勝つには、質の良い野球をしなければならないですから、選手を褒めてあげたいですね」と安藤監督。
9回裏は二死から内野に失策が重なり1点差となるが、結局、最後まで中山が投げきり、試合は4対3で青山学院が競り勝った。

 安藤監督は「中山は体が万全ではないので、『行けるところまで、思い切って行け』と声を掛けたのですが完投してくれて、本当によく投げてくれたと思います」と、最大級の賛辞を送った。都大会への課題としては「攻守共に、とにかく精度を上げていく事」を挙げたが、青山学院には何ものにも代え難いチームワークがある。
「ウチは選手同士の仲が良いですし、父兄やOBの方が熱心に応援してくださっていて、勝てばみんなで喜べるので、それをモチベーションに戦っていきます」

 一方、あと一歩のところで涙を飲んだ豊南青山学院との実力差はほとんど無かったように見受けられたが、先発の近藤は四球が9つ。ワイルドピッチも多く、バッテリーを鍛え直す必要があるだろう。

(文=大平 明


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!東京都の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?