試合レポート

都立府中東vs拓大一

2014.03.22

足で存在感を示した都立府中東の三瓶直也!

都立府中東vs拓大一 | 高校野球ドットコム 

3盗塁を記録した三瓶直也(都立府中東)

 14安打11得点の7回コールド勝ち。
「出来過ぎでしたね」と都立府中東・西山翔監督は今回の試合内容をそう振り返った。

 この試合の攻撃の突破口を切り開いたのは1番の三瓶 直也だった。163センチ62キロ。体は小さく、体格を見ても、まだ普通の高校生だ。だが見た目に騙されてはいけない。三瓶は体格が大きい選手にも負けないパフォーマンスを見せた。

 [team]拓大一[/team]の先発の広谷は183センチの長身右腕。実際に見ていても球威あるストレートを投げ込む。しかし三瓶の力負けせず振り抜いた打球は左前安打。その打球はなかなか力強く、身体は小さくても打撃がしっかりしていた。そして打撃以上に驚かされたのが走塁だった。
出塁した三瓶はすかさずスタート。盗塁を決めた。実に速い走塁だった。結果として、三瓶は挟殺でホームにかえることはできなかったものの、先頭打者の出塁で勢いに乗った都立府中東は5番倉田のフェンス直撃二塁打と6番深谷の適時打で3点を先制する。                                                       

 続く2回裏、三瓶に2打席目が回る。一死二塁の場面で今度は中前安打で出塁。また走るかもしれないと思い、一塁ベース上にいる三瓶を凝視した。拓大一バッテリーも牽制をいれ、三瓶の足を警戒するものの、止められない。リードを大きく取り、再びスタート。これもまた悠々セーフ。一死二、三塁から都立府中東は2番河内の犠飛、3番廣瀬 絋太郎の左中間を破る三塁打、押し出しで、3点を追加し、2回まで6対0でリードする。

 三瓶の第3打席目は3回表。二死から三瓶は直球を右前安打。右、左に打ち分ける綺麗な打撃である。そしてこの後、三瓶はまたも盗塁を決め、チャンスを作り、これが起点となり都立府中東は2得点を追加し、3回表まで8対0とリードを大きく広げた。


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先発・広谷(拓大一)

三瓶は5打席たち、4打数3安打2得点3盗塁。トップバッターとして申し分ない内容である。三瓶はこの春、初めてベンチ入りしたばかりの新2年生。
西山監督は、
「小さいですけど、身体能力は素晴らしい選手ですね。打撃も小さい割にパンチ力もありますし、そしてあの俊足。守備は内野ならどこでも守れる選手です」
と評価する。

クリーンナップも三瓶の足に期待を寄せる。3番で主将の廣瀬は、「本当に速いですし、走れる選手です。自分は広角に打ち返す打撃に徹して、とにかくランナーを還そう、次の打者へ繋ごうという意識しかないです」廣瀬はこの試合で2安打3打点の活躍を見せていた。

三瓶の活躍により、相手投手のリズムを崩し、攻略に成功した。もし三瓶が出塁できていなければ、結果はかなり違ったものになっていたかもしれない。足でプレッシャーをかけられる選手の存在価値の高さがうかがえる試合だった。

三瓶は今日の走塁について感想を伺うと、
「先輩たちに迷惑をかけないように。相手バッテリーを見て走る余裕はなく、とにかく思いきり走っているだけです」
と正直に語ってくれた。まだ相手を見ての走塁というレベルではないが、『 失敗を恐れずに走れる姿勢 』は素晴らしい。

 ただ高いレベルの俊足選手になると、「相手投手のクイックが遅いので。 モーションが大きいので」と相手選手を見て、走る決断をする。これから相手の隙を突く狡猾さ、相手バッテリーの技量を見抜く観察力を身に付け、それをどれだけ走塁に活かすことができるか。
まだ体格的にも、意識も普通の高校生。それだけに可能性を感じる選手だ。今後、上を目指して、肉体面、意識面も大人になることで東京を代表する俊足選手になっていくに違いないだろう。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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