試合レポート

都立雪谷vs実践学園

2013.09.02

メンバー入替で「喝」の入った雪谷、完封で好発進

都立雪谷vs実践学園 | 高校野球ドットコム 

力投する鈴木優君(都立雪谷)

 今秋の東京都大会第一次予選のブロック組合せでは、この第24ブロックBの5校は、いずれも中堅以上の力のある学校が集まって激戦ゾーンとなった。朋優学院青山学院、会場校の明星にこの両校である。

中でも、夏からの安定した投手がいる都立雪谷が注目を集めている。そのエース鈴木優君は、見た目はスラリとした感じだが、1年生で入学してきたときから体重も7~8キロほど増えて、見た目以上に体幹がしっかりとしているという感じだ。ウエイトトレーニングや、体作りのメニューも工夫されているので、まだまだ体はしっかりと作られていきそうだ。

14年間、都立雪谷でチーム指導し続けている相原健志監督も、「これまで何人も、いい投手を見て育ててきましたけれども、素材としてはその誰よりもいいと思います」というくらいに、その素材力に惚れ込んでいる。それだけに、指揮官としては、このチームで何とかしたいという思いは強い。

夏は5回戦で二松学舎にサヨナラ負けという悔しい試合を経験してきた都立雪谷。そのチームから、鈴木優君以外にも何人かメンバーが残ったのだが、このブロック予選はチームの意識をさらに向上していくという狙いもあって、あえて大きくメンバーを入れ替えて挑むことになった。

そのため、試合経験の浅い選手も多く出場することになったのだが、練習試合を含めて経験を積んでいくことで、自分たちの役割、出来ることに対しての意識が出てきたという。それに、相原監督が求めていた「ひたむきさ」がチームに育まれてきていることを喜んだ。

鈴木優君は、気温35度を超える猛暑の中でも尻上がりに調子を上げていく内容でスタミナ配分も十分に考えての投球だった。相手打線を見ながら、投球を組み立てていく投球術も巧みだった。終わってみたら3安打で、3回に7番奥友君に左越三塁打を喫したが、それ以外は三塁へも進めさせない内容だった。4回は無死一二塁となったが、巧みに併殺で切り抜けた。


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4回に4点目を挙げた都立雪谷・山北君

 相原監督も、「この暑さの中で、集中も切らさないでよく投げてくれました。投手におんぶに抱っこというチームですけれども、捕手も、経験があまりない子なので捕るのが精一杯でしたが、それでも一生懸命にやっていくことでいいものが出てきています」と、徐々にチームが意図する方向へ向かっていることを喜んだ。

都立雪谷は初回に実践学園の尾林君の立ち上がりを突いて、2つの四球とノーサインでもOKという盗塁などで攪乱して、野選と一三塁からの重盗、さらには6番畠山君の中前打で3点を挙げた。

4回にも2死三塁から1番山北君が左翼線へ長打して追加点を挙げた。5回からは実践学園のマウンドは海老澤君に代わったが、8回に4番打者でもある鈴木優君が三塁打して出ると、内野ゴロの間に本塁を陥れてダメ押し点を加えた。この、1死三塁で内野ゴロGOという戦い方は、相原監督が、打てないチームと判断した場合は、積極的に取り入れている戦術でもある。「万が一、外されても、スクイズよりもファウルにする確率は高い」ということもあるようだ。この試合で、5点目をこういう目指す形で取ることが出来たことに、相原監督は最も喜んでいた。

 03年夏に甲子園出場を果たしている雪谷、09年夏にも東東京大会決勝に進出している。これから1年、都立雪谷としてはその時以上のチームを作り上げていく気持ちである。

実践学園は、足を使われていきなり3点を失ったことも大きかったが、3回、4回に無死で走者を出して流れを呼び戻せそうなところで攻めきれなかったのも効いた。

(文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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