旭川工vs釧路北陽
結果的に効いた5回の6点目を考える
旭川工業 結果的に効いた6点目
「苦しかったです」。
勝った旭川工の小川真輝監督や選手が口を揃えるようにこの表現を使った。
序盤からリードを広げ、5回が終わった時には6対0。コールドゲームにもできるような展開から、6回と7回の2イニングで1点差まで追い上げられた。9回に釧路北陽のミスなどに乗じて4点を取り突き放したが、苦しさの方が大きなウエートを占めた。
「3回、4回と点が取れなかった。1回、2回で5点を取って、3回と4回で点数を取れるかどうかだったが、三者凡退、三者凡退。あそこで点数を取れていれば流れはまたこっちの方に来たのかなと思います」と振り返った小川監督。
釧路北陽のエース・小柳和輝(2年)に対し、1回と2回で投げさせた球数は67。しかし3回が10球、4回は8球で三者凡退に終わり、立ち直りのきっかけを与えてしまった。ただ、5回の攻撃では7球で1点を追加した。結果的にはここでの得点が効いた形だ。
その5回の攻撃。先頭の4番櫻田凌太(2年)が初球を打って凡退。次の5番真鍋光(1年)も初球を打つが、内野安打となって出塁することができた。6番佐竹も初球を打って凡退。3球で二死一塁という場面になった。
打席は旭川工のエース・髙沼拓海(2年)。1球目、釧路北陽の小柳と加賀涼太(2年)のバッテリーは、ピッチドアウト気味に外した。
2球目がストライクとなった後の3球目、真鍋が盗塁を仕掛けて成功。「サインではなく、真鍋の判断です」と打者の髙沼が明かす。そして4球目にレフト前へ落とすヒットを放ち、真鍋が生還。結果的に大きく効くことになる6点目が入った。
さて、このイニングの流れの変わり目は、髙沼の初球で見せたバッテリーのピッチドアウトにあるように思う。旭川工は3回、4回とあっさり攻撃が終わり、5回も走者が出たとはいえ、3球で二死。ただ髙沼の初球で思わぬ間ができたことで、走者の真鍋が一工夫できたのではないだろうか。もし二死一塁のまま、髙沼が簡単に打ち取られていれば、3回と4回の流れのままだったかもしれない。
とはいえ、6回と7回に釧路北陽が見せた反撃は見事だった。8回にも同点のチャンスを作ったが、難しい判断で結果的に走塁ミスを犯し、得点できなかったのが悔やまれる。