試合レポート

国分中央vs川内

2013.07.16

転がせば何かが起きる!・国分中央

 国分中央は166㌢の軟投派左腕・二見康士朗(2年)、鹿児島川内は184㌢の本格派右腕・前原尚宜(3年)、好対照な両エースが火花を散らした。8、9回に試合は大きく動き、国分中央が劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

7回までは両エースが、互いの持ち味をフルに発揮して、得点の気配すら漂わせなかった。前原が力の投球で国分中央打線をねじ伏せれば、二見は終始冷静に投球を組み立て、鹿児島川内の各打者のコールドゾーンを突く。

目を引いたのは国分中央の大胆な守備のシフトだ。極端に右に寄せたり、大きく後ろに下がったり、打者ごとにポジショニングを考えていた。前回の鹿児島川内の試合を観戦し、背番号14の窪園将寿(2年)らが控え選手が中心になって各打者の打球の方向や特徴などを詳細に分析した成果だという。練った策がことごとく的中し、良い当たりも正面を突き、間を抜かせなかった。

均衡が破れたのは8回だった。
鹿児島川内は、簡単に二死となったあと、3番・竹之内優太(2年)がセンター前ヒットで出塁。続く前原のセンター返しの打球は、二塁手・下原翔斗主将(3年)が懸命に飛びつくも、グラブをはじいてセンター方向へ転がった。右中間寄りにポジショニングしていて逆を突かれた中堅手・児島卓弥(3年)がスライディングしてボールを止めたが、その間に一走・竹之内が先制のホームに滑り込んだ(※記録上は二塁打)。

その裏の国分中央も簡単に二死となり、下村幸太郎監督は好投の9番・二見に代えて中深迫卓(3年)を代打に送る。平凡な三ゴロと思われたが、一塁への暴投で生きた。ヒット、エラーで満塁とし、押し出しで同点に追いついた。

9回表はリリーフした堀切風真(2年)が3人で片づけると、その裏、先頭の壱岐正三(3年)が三遊間深い内野安打で出塁。手堅く送って二死ながら三塁とすると、8番・木原勝也(3年)は二ゴロで延長かと思われたが、送球がもたつき、木原が懸命に一塁へ駆け抜け、内野安打になり、壱岐が劇的なサヨナラのホームを踏んだ。

中盤は前原の球威におされて打ち上げる傾向を、下村監督はベンチで修正。クリーンヒットはほとんどなかったが、しぶとく転がせば何かが起きるお手本のようなゲームだった。

(文=政 純一郎)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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