試合レポート

仙台育英vs盛岡大附

2013.06.11

仙台育英vs盛岡大附 | 高校野球ドットコム

優勝旗を手に場内を回る仙台育英ナイン

仙台育英が14年ぶりV

仙台育英が14年ぶりに春の東北チャンピオンに輝いた。

3回。仙台育英は1番・熊谷敬宥が二失で出塁。2番・菊名裕貴がバントをしたが、盛岡大附のエース・及川豪が処理して一塁へ投げた球は菊名の首に直撃。一死後、4番・上林誠知がライト前に2点タイムリーを放ち先制した。

さらに5回、熊谷が左中間にホームランを打って追加点。菊名がライトフェンス直撃の二塁打を放ち、3番・長谷川寛が三振に倒れた後、上林がまたもライト前にタイムリー。

そして、9回には、6番・加藤尚也がセンター前ヒット、代打・佐々木友希が犠打を決めて、8番・福田義基のレフト前ヒットを、盛岡大附の途中から入った左翼手・友利功嗣が後逸。この間に、二走・加藤がホームイン。5点目が入った。

盛岡大附は0対4の6回に、この回先頭の2番・斎藤塁がレフト前ヒット、3番・松本裕樹がライト前ヒットで続いたが、4番・望月直也はセンターフライに倒れた。二走・斎藤が三塁にタッチアップしていたことで5番・福岡吉平がレフトへ犠飛を放って1点を返したが、仙台育英馬場皐輔から7安打しながらも中々得点に結び付けることができなかった。


仙台育英vs盛岡大附 | 高校野球ドットコム

3安打と活躍した上林(仙台育英)

敗れた盛岡大附・関口清治監督はエラーが失点につながったことを挙げ、「1イニングに2つもミスするチームは甲子園に行けません。ノーヒットで出た2人をタイムリーで返しましたから」。と振り返る。

仙台育英が先制した3回はセカンドの三浦智聡がゴロを捕球しきれず、さらに及川がバント処理で走者に当てる送球ミス。2つのミスの後に上林にタイムリーを許している。また9回も一死一、三塁になるはずが、レフトの後逸により、二塁走者を返してしまった。

「これから特守をやったからといって、試合でエラーをしないかといったら、そうじゃないと思うんです。意識を植え付けさせます」と関口監督。意識改革で夏までに決勝でもらった課題に取り組むつもりだ。

また、攻撃に関しては「4番がチャンスで仕事を果たしたチームと、果たせなかったチームの差です」と振り返った。仙台育英の4番・上林が3安打したのに対し、盛岡大附の望月は1回の一死二、三塁でショートゴロ。三走・斎藤が三本間で挟まれてタッチアウトになった。6回も無死一、二塁でセンターフライ。走者を進めたが、タイムリーがほしかった場面だった。

とはいえ「まだ完全に力を蓄えていないチームです。『だから、言ったろ』と言える。最終日までいれたのが最高の収穫です」と大会を振り返る関口監督。
負けに不思議の負けなし。エラーが相次いだことも、得点に結びつけられなかったことも、プラスにとらえ、夏の本番に備える。


仙台育英vs盛岡大附 | 高校野球ドットコム

今大会、正捕手として投手陣を牽引した福田(仙台育英)

一方の仙台育英。2011年は東日本大震災の影響で中止となったが、その前年の2010年と昨年は決勝で聖光学院と対戦。そして、2連敗していた。1999年に優勝して以降、6回の準優勝。聖光学院に敗れる前の2009年は、盛岡大附に敗戦していた。佐々木順一朗監督は「昨日、聖光にもお返しできたし、その前は盛附だったので、お返しずつできかなと思います」と話した。

今大会は、正捕手の小林遼が腰痛で、一塁手の水間俊樹が左ひざ靭帯を負傷してベンチを外れた。さらに、水間に代わって一塁を守る小野寺俊之介は準々決勝・酒田南戦のシートノック中に打球を左手に当てて骨にヒビが入りギプス姿に。サードやショート、セカンドの控えが一塁を守った。小林遼の代わりにマスクをかぶった福田は投手陣を懸命にリードし、バットでもチームに貢献した。「2人がベンチから外れて、代わりのキャッチャーが大活躍してくれました。ファーストは代わりもケガをしたので、4人まわしましたが、楽しんできたと思います。ベンチは出るために入っているんだよ、ということを実戦できてよかったなと思います」と佐々木監督は振り返った。

試合後、福田は「やれることをやっただけです。自信はめっちゃ付きました」と笑顔。その横で、小林遼が「今の(背番号)2番は福田だよ。でも、夏は追い越すから」と、こちらも笑顔だった。

主将の上林は「優勝は自信になると思います。夏は自分たちにとって最後の大会なので、気負わずに楽しんでやりたいと思います」と話した。

ピンチの中でも、負けずに結果を残した仙台育英の「強さ」は本物か。その答えは、この夏で分かるだろう。

(文=高橋昌江

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

夏の愛知大会は6月28日から開幕!決勝戦は7月28日【愛知大会要項】

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.26

【春季関東大会】白鷗大足利が初優勝!最後はタイブレークの末サヨナラ死球で幕切れ!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】エース頼み脱却を目指してきた京都国際。「素質はプロ入り左腕と同等」の2年生左腕の台頭と打線強化で京都の大本命に成長!

2024.05.26

【福島】聖光学院が4連覇を達成<春季県大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉