利き目と見える範囲(視野)を理解しておこう

 皆さんは自分の「利き手」がどちらかということはわかっていると思いますが、「利き目」が左右どちらなのかを知っていますか。自分の利き目を知っておくことは野球では特にバッティングに影響を与えやすいと言われています。まずは自分の利き目がどちらなのかを確認してみましょう。

《利き目の調べ方》
1)親指と人差し指を使って丸を作り、目印となるものを丸の中に入れる
2)交互に目をつぶって、両目と同じように見える方が「利き目」

 私たちは主に利き目で見た情報を脳に伝えています。普段見ているもののほとんどは利き目で見ている映像であるとも言われています。一方で利き目とは反対の目は、利き目を補いながら物を立体的に見るための情報を脳に伝えています。片目を閉じた状態では平面的な見え方になってしまいますが、両方の目で見ると立体感や距離感などがつかめるようになります。一般的には右が利き目という人が多いようですが、これは言語の発達や論理的な思考など左脳が発達したことによって、右利きが多くなったと考えられています。

 視野については片目で見たときは左右で鼻側に約60°、耳側が約100°と言われており、両目で見ると約200°の視野を持っています。上下では上側に約60°、下側に約70°の範囲を認識することができます。また物の色や形を認識できる中心視野は前方に約30~35°、それ以外は細かな違いなどが判別しにくい周辺視野と呼ばれます。対象物を正面から見る場合は、右目からの距離と左目からの距離はほぼ同じなので、左右での見え方の違いはわからないと思いますが、これがバッティングのように対象物を横から見る場合は、見え方の違いが感じられるかもしれません。

 右打者が顔を左に向けて対象物(投手)を見るときは、左目はその距離が近く、右目は遠くなります。利き目からの情報がメインになることを考慮すると、右目が利き目の場合は体から遠いアウトコースのボールが見やすく、体に近いインコースのボールが見づらいということが考えられます。インコースが苦手という選手の中には利き目がその要因となることもあります。反対に左打者で右目が利き目の場合はインコースを見極められる反面、アウトコースの対応がむずかしいと感じるかもしれません(あくまでも「利き目」から考えた場合です)。こうした利き目による見辛さを修正するためには、打席で構える際にしっかりと顔をピッチャー方向に向け、ボールをなるべく両目で見るようにすることも一つの方法です。

 バッティングのように横から物をみるような場面では、利き目をあらかじめ知っておき、対策を立てることもパフォーマンスの向上に役立つかもしれません。自分の利き目がどちらか知らない選手はぜひ一度確認してみてくださいね。

文:西村 典子
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