体の3つの面を理解しよう
体の3つの基本面を理解し、トレーニングプログラムにも活かそう
ケガの予防やパフォーマンスアップのために行うトレーニングでは、さまざまなエクササイズ(種目)を行うことと思います。日々のプログラムを組むときに参考にしたい機能解剖学的な知識として、体にある3つの基本面を知っておきましょう。スポーツ動作はこの中の1面のみが使われるのではなく、複雑に関わってくることが理解できると思います。トレーニングにおいてもこの3つの面を意識しておきましょう。
《矢状(しじょう)面》
矢状面とは体を前後につらぬいて左右に分ける面です。体に矢印が刺さっていると考えるとわかりやすいですよね。体の動作でいえばお辞儀をするような前屈、後ろに体を反らせる後屈が代表的な矢状面の動作です。トレーニングのエクササイズではこの矢状面を意識したものが多く、座った状態から上体を起こす腹筋運動や、ダンベルを挙げ下ろしするアームカール、ベンチプレス、下半身強化の代表的なエクササイズであるスクワット、デッドリフトなども矢状面での動きを行うエクササイズとなります。
《前額(ぜんがく)面》
人が額縁に入った状態を想像してみましょう。その中で動く面のことを前額面といいます。これは体を前後に分ける面となります。窓を拭く、手を振るといった動作は主に前額面で行われます。専門的な言葉で表現すると、「外転」「内転」という正面から見て横方向に動かすものが前額面での動きです。片手にダンベルを持って体を傾け、体幹の横部分を鍛えるサイドベンドや、ダンベルを持って左右に腕を挙げて肩の筋肉を鍛えるサイドレイズ、足を大きく横にスイングする動作などが前額面を意識したエクササイズとなります。
《水平面》
体を輪切り状態にして上下に分けた面を水平面と呼びます。脊柱を軸とした「回旋」動作がこれにあたり、後ろを振り返ったり、スイング動作を行ったりというものが水平面での動作になります。また肩関節を中心にしてひねり動作を行う「内旋」「外旋」動作も水平面で行われます。トレーニングではメディシンボールを使ってサイドスローを行う、チューブなどを使った肩の内旋・外旋エクササイズなどが代表的です。スポーツ傷害の多くは水平面で起こりやすいという指摘もあり、日頃から水平面を意識したトレーニングを行う必要があるといえるでしょう。
トレーニングのエクササイズを振り返ってみると、矢状面での動きが多いことに気づくと思います。スポーツ動作は基本の3面が複雑にからみ合って行われるため、前額面や水平面での動きを支えるエクササイズなども上手に取り入れていきましょう。
文:西村 典子
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