ケガの回復を支える睡眠の重要性
寝る直前にスマホを見ていると交感神経が刺激され、熟睡を妨げる一因となる
皆さんは今までに何度かスポーツによるケガを経験したことがあると思います。そのときに心がけていたことはどんなことでしょうか。「骨折したからカルシウムをたくさんとろう」「肉離れを回復させるためにプロテインをとろう」「専門家がいる治療院に通って患部を回復させよう」などなど。患部へのアプローチはもちろんですが、栄養についてもさまざまな情報を得て取り組んでいる人は多いと思います。一方で休養・睡眠についてはどうでしょうか。「ケガをしたから十分な睡眠時間を取ろう」と考える選手は少数派かもしれません。ところが睡眠時間や睡眠の質がケガの回復を左右すると言われると、振り返って自分の睡眠はどうなのか考えてみたくなりませんか。
海外では「8時間以上の睡眠をとるアスリートはケガや病気になりにくい」という研究報告があります※。言い換えると睡眠時間が8時間に満たない選手、睡眠不足を自覚している選手の場合、体のさまざまな部分の回復が追いつかず、翌日も不完全なコンディションのまま練習や試合に参加することになります。傷んだ骨や筋肉を修復する、成長させるためには十分な睡眠が必要になりますが、睡眠時間が少なかったり、睡眠の質が良くない状態だったりすると体はいわゆる「コンディション不良」状態となり、免疫力が低下してケガや病気のリスクが高まると言えるでしょう。
ケガをした選手の場合は特に傷ついた組織が修復するためにある程度時間がかかります。組織に必要な栄養はもちろんですが、細胞レベルでの修復、再生のサイクルを促すためには体を温めて血流を促し、十分な睡眠によって成長ホルモンを分泌させることが必要となります。ところが8時間未満の睡眠で、日中も眠気を覚えるような状態ではケガの状態も回復が遅くなってしまいます。
ケガをしているときは特に「しっかり寝よう!」と決めて、布団に入る時間から逆算して生活リズムを整えるようにしましょう。「寝る直前までスマホを眺めない」「起床時間を一定にする」「就寝時間の1時間前には入浴を済ませておく」といったことを習慣にするだけでも睡眠の質が向上します。10代はやはり8時間以上の睡眠時間を確保したいもの。ケガの予防だけではなく、回復にも大きな効果が期待できる睡眠の重要性を改めて見直してみましょう。
文:西村 典子
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