武蔵府中シニアでエルゴメーターのイベント開催!バーチャルでのレースに大盛り上がり
四国の強豪校が導入したことをきっかけにその名が知られるようになったエルゴメーター。その広がりは今や四国に止まらず、全国レベルだ。
そんなエルゴメーターの体験イベントが、夏本番をを直前に控えた6月に武蔵府中シニアの専用グランドで行われた。参加したのは、リトルシニアの強豪・武蔵府中シニアの3年生40名、2年生46名の選手たちだ。
イベントではまず、エルゴメーターの説明が行われた。
選手たちはエルゴメーターを囲み、指導スタッフから使い方を丁寧に学ぶと、感嘆の声を上げて早速実践をスタートした。
4人一組になり順番にエルゴメーターを使う選手たちは、始めこそ笑顔で快調なスタートを切ったものの、徐々に体力を奪われて次第に表情が険しくなっていく。選手たちはエルゴメーターの効果を実感し、トレーニング後には腕と足の疲労を口にした。
イベントの後半では、モニターを用いてゲーム形式でのバーチャルレースが行われた。
ここでも選手たちは4人一組になり、エルゴメーターと連動したモニターのボートを見ながら、必死にレースを展開。また周りを囲む選手たちも、モニターに映るボートの動き見ながら大きな歓声を上げ、イベントは大きな盛り上がりを見せた。
実際にエルゴメーターを使用する選手たち
レースに参加した選手たちは、200メートルの距離を漕いだだけで苦悶の表情を見せ、「腕と足がやばい」、「めっちゃキツい」といった声を上げた。それでも息が整ってくると笑顔を取り戻し、エルゴメーターのトレーニング効果を実感した様子を見せ、苦しみの中にも充実感を滲ませた。
エルゴメーターで良いタイムを出すためには、足腰をしっかりと使うことが肝になる。タイムが伸び悩む選手の多くは、腕だけでマシンローイングを引こうとする傾向があり、そいいった選手には、エルゴメーターをスタッフである中野さんから「もっと足を使って漕ごう」と大きな声が掛かった。
そして今回、参加した選手の中で最も良いタイムを出したのは、3年生の今野翔斗選手だった。
チームの平均タイムが約46.5秒である中で、44.5秒のタイムを出した今野選手は、小学校時代はジャイアンツジュニアに所属し、武蔵府中シニアでも主力投手の一人として活躍した。球速は130キロ台中盤を記録し、すでに進路も関東圏の強豪校へ進学を予定している。
今野翔斗選手
実はエルゴメーターのタイムと、球速や肩の強さには相関性があり、これまでも球速の速い投手ほどエルゴメーターでも速いタイムを記録する傾向が見られるのだ。
東北楽天ゴールデンイーグルスで奮闘中の安樂智大選手も、高校時代には高校生としてはトップクラスのタイムを記録していた。
200メートルの距離を漕ぎ終えた後、今野は疲労の色を見せながらもエルゴメーターの効果について次のように語った。
「最初は順調だったのですが、途中から腕や足がきつくなってきて、こんな短時間で鍛えられるのはいいなと思いました」
また、武蔵府中シニアを率いる小泉隆幸監督も、そのトレーニングの効果には太鼓判を押す。トレーニングを続けられる要素が多いと語る小泉監督は、エルゴメーターのメリットを次のように話す。
「選手が競争し合うことも出来ますし、室内でも室外でも使えるのは良いと思います。また野球と関係のないスポーツの動きの中で、野球に使える筋肉を鍛えられるところも魅力ですね」
さらに小泉監督は、エルゴメーターのタイムと球速や肩の強さに相関性があることにも、納得の表情を見せる。球速が出る選手の特徴に「背筋力」と「蹴る力」の強さを挙げる小泉監督は、今回上位にランクインした選手の多くが、球の速い選手や肩の強い選手であることを明かした。
「(エルゴメーターでも)必要になるのも、やはり『背筋力』や『蹴る力』ですね。良いタイムが出るということは、それだけ『背筋力』や『蹴る力』が強いからだと思います。
今野も下級生の頃からずっとピッチャーをやっていて、速い球を投げていましたからね」
今回は対象が中学球児であったため、200メートルでのタイムを測定したが、その距離が伸びれば伸びる程タイム差も大きくなり、その身体能力の違いも如実に見えてくる。ちなみに高校球児がタイムトライアルをするならば、500mで行うのが最適と思われる。
今や高校野球だけでなく、プロ野球球団も取り入れているエルゴメーター。興味のある選手、指導者の方は、是非練習に取り入れてみてはいかがだろうか。
(取材・栗崎 祐太朗)