心のどこかで応援していた「小柄」な背番号1
有田工 塚本侑弥
トーナメント表
・浦和学院、敦賀気比などが属するブロック
・大阪桐蔭、花巻東などが属するブロック
・ベスト8以上の組み合わせ
<第94回選抜高校野球大会:國學院久我山4-2有田工>◇22日◇1回戦◇甲子園
センバツ初出場の有田工(佐賀)、最後の打者が遊ゴロに倒れ、初勝利はならなかった。アウトになり一塁ベースを通過した背番号1が天を仰いだ。塚本 侑弥投手(3年)。168センチ、66キロのエースに勝利の女神は微笑まなかった。
昨年秋からエースとしてチームを支えた。打者としても「1番投手」としてチームを引っ張ってきた。昨年秋の公式戦では打率.471とチームトップの数字を残した。しかし、センバツの舞台ではわずか1安打。自慢の思い切りのいいスイングは実らず、制球力を武器にした投球も勝利には結びつかなかった。自分の打席で始まった試合を、自分で終わらせてしまった。それでも170センチにも満たない体格でフルスイング、全力投球する姿には胸を打たれるものがあった。
近年、プロ入りを目指した大型投手が甲子園で活躍するパターンは多い。強豪チームは中学時代から注目されたポテンシャルの高い、体格にも恵まれた選手を育て、甲子園に乗り込む。自然、エースと呼ばれる背番号1の選手は180センチ以上であることも珍しくはない。そのなかにあって、小柄な投手の踏ん張りは心に残る。
21日に対決した東洋大姫路の22876投手(3年)と、高知の山下 圭太投手(3年)も、2人とも身長は170センチ。勝った高知の山下は、有田工と同じ「1番投手」でもあった。この日、21世紀枠で出場し初戦敗退した只見(福島)のエース、酒井 悠来投手(3年)も167センチだった。速球こそないが、大垣日大(岐阜)打線に正面から向かっていく姿に熱いものを感じた。
2回戦で國學院久我山(東京)打線と対戦する高知の山下。負けた「小柄」の背番号1の分まで、マウンドで輝いてもらいたい。