「じっくり育成」ソフトバンク 過去3年の高卒ルーキーの1年目デビューは1人のみ
井上 朋也(花咲徳栄)、風間 球打(明桜)
ソフトバンクは2021年のドラフト会議で事前に公表していたとおり、風間 球打投手(明桜)を1位で指名。重複なく単独指名となり交渉権を獲得し無事に入団の運びとなった。
ソフトバンクが1位で高卒の選手を獲得するのは井上 朋也内野手(花咲徳栄出身・2020年1位)に続いて2年連続で、高卒の投手を獲得したのは2017年の吉住 晴斗投手(鶴岡東出身)以来4年ぶりのこととなる。
その風間は背番号「1」を与えられ、大きな期待がかけられているが、王貞治球団会長は高卒2年目に結果を出したヤクルト・奥川 恭伸投手(星稜出身)やロッテ・佐々木 朗希投手(大船渡出身)らを引き合いに出し、「焦らせてはいけない。大事に育てていきたい」といった趣旨の発言をしており、じっくりと育成されることになりそうだ。
さて近年ソフトバンクが指名してきた高卒の選手たちは1年目から1軍でプレーしてきたのだろうか。過去3年の結果を振り返ってみたい。
2018年のドラフト会議では野村 大樹内野手(早稲田実業出身・2018年3位)と水谷 瞬外野手(石見智翠館出身・2018年5位)のふたりを支配下で指名した。野村は9月末に1軍昇格すると、途中出場ながら即日出場を果たし、初打席初安打を記録している。一方の水谷は1軍出場がなかった。
この野村を最後に高卒ルーキーが試合に出場した例は1度もない。2019年の小林 珠維内野手(東海大札幌出身・2019年4位)、2020年の井上 朋也内野手(花咲徳栄出身・2020年1位)、笹川 吉康外野手(横浜商出身・2020年2位)、牧原 巧汰捕手(日大藤沢出身・2020年3位)、川原田 純平内野手(青森山田出身・2020年4位)、田上 奏大投手(履正社出身・2020年5位)の6人はいずれも1年目に1軍で出場することはなかった。
その前をさかのぼってみても、1年目から1軍で出場したソフトバンクの高卒ルーキーはほとんどいない。高校生と大学生・社会人の分離ドラフトが終わった2008年以降、1年目から1軍で出場したのは野村と武田 翔太投手(宮崎日大出身・2011年1位)のふたりだけだ。
ソフトバンクは高卒ルーキーを1年目から1軍で起用することはまずない、と言っていい。おそらく王会長の言葉通り、風間も1年目は2軍、3軍で汗を流すことになるだろう。2年目以降、どのような成長を遂げ1軍の舞台に立つのか今から楽しみだ。
【高卒ドラフト指名選手の1年目成績】
※育成指名は1年目に支配下登録された選手のみ
<2018年ドラフト>
野村 大樹(早稲田実業出身・2018年3位)
2試合 打率.500(2打数1安打) 0本塁打
<2019年ドラフト>
小林 珠維(東海大札幌出身・2019年4位)
1軍出場なし
<2020年ドラフト>
井上 朋也(花咲徳栄出身・2020年1位)
1軍出場なし
(取材=勝田 聡)