News

「努力した成果を示す場を何とか作ってあげたい」狭山清陵・遠山巧監督

2020.04.30

「努力した成果を示す場を何とか作ってあげたい」狭山清陵・遠山巧監督 | 高校野球ドットコム
写真は2017年9月から

 年度末から新学期にかけてという時期に、長期の休校が続いている状態である。もちろん、どの学校も学校に集まってクラブ活動などは出来ない。自粛期間が続いている中で、それぞれの学校で工夫しながらの取り組みをしている。狭山清陵の遠山巧監督は、この機に状況を見て部員たちの家庭訪問を行っているという。もちろん、ソーシャルディスタンスを保ちながらの対応ということになるし、長時間の対面は避けるようにはしている。

 「高校っていうのは家庭訪問なんていうのは、ないじゃないですか。だから、こうして(家庭訪問を)この機にやってみると、それはそれで新鮮ですね。練習メニューも伝えるんですけれども、親がどういう協力をしてやっているのかということや、それに、親と子のコミュニケーションがどうかなということもよくわかります」

 この機に実施してみた家庭訪問で、それはそれで新しい発見があったということだ。また、こうした中で、親と子で部活動として取り組んでいる野球をもう一度見つめ直して考える時間も出来てきているのではないかとも捉えている。

 現在のツールとしてのLINEメールについては、学年ごとにグループを作ってLINEミーティングという形で、主としてメンタル面について語っている。先行き不安なことは考えても仕方がないというということでテーマを決めて進めている。

 LINEミーティングでは一つのテーマについて、遠山監督は国語科の教員らしく、「作文課題」という形で取り組ませている。文字で表すことで、自分の考えをきちんとまとめていくという姿勢にもなっていく。

 そして、そこに遠山監督も割り込んでいって、「誰々の言っていることは非常にいいから、このことについてもう少し深く考えていこう」とか、「ここで新しいテーマが出てきたので、今度はそのことについて考えていこう」というようなやり方で進めている。

 また、LINEミーティングというスタイルでの発見もあるようだ。
 「顔が見えないということで、却って本音が言えることもあるのではないか」
 そんな気もしているという。

 厳しい状況下で、新しい形の取り組みを進めていく中で、それぞれの選手たちの考え方や思いを知ったというところもあるようだ。

 元々、遠山監督は南稜監督時代にも、オフの間に読書を積極的に奨めて、その読書感想文などを提出させて、考える力を育み、伝える能力を高めていくことで、メンタル面の強化などを進めてきたという実績もある。2012(平成24)年に南稜が春季県大会を制した時も、そんな成果があったからだと信じている。だから、言葉で表現をしていくことの大切さも、常に追求して指導している。

 それでも、収束の目途がつかないままの、感染拡大の今の状況ではある。

 「最悪の場合は、(大会そのものは)ないかもしれないぞということは覚悟しておきなさい」という指示も出してはいるという。そして、作文課題としても、テーマを用意している。

 「もし、大会がなくなったとしたら、自分の中でどう気持ちの整理をつけていくのか」
 こういうテーマで考えていくことも準備しておくようにということは伝えている。

 そして、自分自身も、夏が開催されない場合にはどういう対処をしてあげるのがいいのかということも、もちろん意識はしている。

 「他の競技の先生たちとも話しているんですが、皆ここまで努力して頑張ってきているのですから、何らかの形で県内だけでもいい、地区だけでもいいから順位付けは、させてあげたい。成果を発揮する場は何とか与えてあげたいという気持ちは同じです」

 最悪は、秋までずれ込んでも仕方がないと考えている。
 「何とか評価される場を作ってあげたい。それをどう作ってあげられるのかということも、我々指導者の役割だと思っています」

 指導者たちも、思い悩んでいる。

記事:手束 仁

関連記事
コロナで次々と進む高校野球のIT活用 都立新宿はLINEで「個別指導塾」を開催
コロナで次々と進む高校野球のIT活用。愛知の新鋭・豊野はZoomで結束を深める
県立高松商(香川) 結束のキーワードは監督発信の『あの』ポーズ!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.25

筑波大新入生に花巻東、國學院栃木、北陸の甲子園組! 進学校からも多数入部!

2024.04.25

【静岡】夏のシード16校が決定、聖隷クリストファー、常葉大菊川はノーシード<春季県大会>

2024.04.25

捕手から最速152キロ右腕へ。村上泰斗(神戸弘陵)は“球界人気理論”を生かしたマエケン流フォームでドラフト候補へ急成長!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.04.25

【群馬】健大高崎、前橋育英などがベスト8進出! 桐生第一は渋川青翠に敗れ夏ノーシードに<春季大会>

2024.04.25

【秋田】昨秋の県大会王者・金足農は大館鳳鳴と対戦! 秋田修英と秋田中央が初戦で激突!<春季県大会組み合わせ>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!