新型コロナによる突然の別れ。打撃強化をしてきた市立岐阜商にやってきた別れの春
打撃練習をする市立岐阜商の選手
全国各地で新型コロナウイルスの影響で春季大会の中止や延期が余儀なくされている。その中で、岐阜県は26日に地区予選と県大会の中止が決定している。活動を自粛している各校は、夏の大会へ照準を切り替えて練習を重ねていくこととなる。
しかし新年度の始まりに合わせて先生の異動がある3月。過去夏の甲子園に4回出場経験を持ち、2018年のドラフトで広島カープに指名を受けた中神拓都を輩出。昨夏は3回戦で姿を消したものの、県内屈指の実力を持つ強豪・市立岐阜商も例外ではない。
チームの指揮を執る秋田和哉監督は21年間務めてきたが、新年度より岐阜城北への異動が決定。岐阜市の方針で2月29日から活動を自粛しており、4月7日まで練習ができない。2月28日が選手たちとグラウンドで会う最後の日になった。
「3月11日に内示が出ていましたので、24日の登校日に会えた時は生徒も薄々わかっていました。その時に色んなプレゼントを用意してもらえて、短時間で話をしてお別れでした」
市立岐阜商の選手には「頑張れ」と言葉を残した秋田監督。現在は地元が近い選手同士がグループになって、空き地を使いながら自主練習を行い、マネージャーへ報告。その報告を秋田監督が聞く形が1か月になる。
「三重や愛知の公立校はやっているのですが、岐阜県は自粛なので大変です。また自主練をやっていても限界がありますが、私立は練習をやっています。この1か月は大きいです」
秋田和哉監督
今年はグラウンドに雪が積もることなく、暖かったため1月まで木製バットを使ったフリーバッティングを中心に打撃を強化してきた。さらに2月に入り実践練習をするなど、実戦を意識した練習を継続してきた。
選手の成長を確かめる意味でも楽しみだった春季大会はなくなり、今は練習もできない。秋田監督は速く再開してほしいと切に願いながら、「3年生が可哀そう」だと語る。
新天地・岐阜城北で再びスピード感を持った野球をテーマに夏の頂点を目指す。
「今までやってきた流れもあるので生徒と話をしながらですが、3年生が悔いなく夏やる方法は何か。また選手の状態もわからず、新年度になって初めて会うことになります。とにかく一生懸命悔いなくやれるようにします」
こういった形で別れになるのは切ない。しかし、いよいよ新年度になり新体制で始まるチームもある。市立岐阜商、そして秋田監督が赴任する岐阜城北の今後を注目したい。
(取材=田中 裕毅)
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