第495回 市立岐阜商(岐阜県)平成最後の夏に台風の目となる!2018年06月08日

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【目次】
[1]堅守を支える高い意識
[2]全国で勝つために武器を増やす
[3]活気と自立心を持った家族で岐阜の台風の目に

 住宅街を歩いていると、活気ある声が聞こえてきた。その声を頼りに向かった先にあったのが、今回の野球部訪問で訪れた岐阜市立岐阜商業高等学校の野球部である。

 県内では常に上位に食い込む強豪校で、過去4度の甲子園出場経験もある。その実力通り昨秋はベスト4入りするも、今春の県大会では2回戦で関商工に3対2で惜敗。春の悔しさを胸に、夏に逆襲を目指す彼らの今に迫った。

堅守を支える高い意識



市立岐阜商のノック中の様子

 練習の様子をしばらく見ていると、いきなり市立岐阜商の意識の高さを見せつけられる。ただボール回しをするのではなく、次のプレーを意識したスローイングを心掛けていた。相手が次のプレーに移りやすいように、胸に投げるのではなく少し左右にずらして投げるように選手同士で指示を出し合っているのだ。

 こうすることで捕球した野手が次のステップを踏みやすく、スローイングにも繋がる。しかし、一歩間違えれば送球ミスに繋がるだけに、ハイリスク・ハイリターンという訳ではないが、それだけ高いレベルを要求している。

 それだけではなく、タッチプレーを意識したボール回しならば、タッチしやすい高さに投げ込むように指示を出す。どちらも言うことは簡単だが、実際にプレーするのは難しい。しかし選手は高いレベルを求め、やってのける。ここだけでも強豪校たる所以が垣間見える。

 その意識の高さはノックに入っても途切れることはない。内野手には、一歩目のスタートを徹底して意識付けをさせる。どれだけ速く・強く切れるのか、ここを大事にしていた。

 外野手に目を向けると、一か所だけではなく二手に分かれてノックを受ける選手の姿を捉えた。この光景はよく見かけるものだが、驚くべきはノッカーの方である。何と、通常の金属バットでロングティーを打っているのだ。飛びすぎて、フェンスに直撃してしまうこともあるが、この方が実践に近い打球を処理することができる。

 内外野ともに、高い意識を持ってプレーをしていることこそが、伝統的な堅守を支えているのだろう。しかし秋田和哉監督に話を伺うと、意識の高さを築き上げた要因は反復練習にあった。

 陸上部との兼ね合いで、グラウンド全面が使える日が限られている市立岐阜商野球部。それでも「守備は数をこなしていけば身に付けられるもの」だと考えている秋田監督は、投内ノックだけは毎日必ず取り組んでいる。内野ノックではなく投内ノックをするのは、投手も含めてノックをすることで、内野の守備を固める重要性を投手にも理解させるという意図があった。こうして守備の意識を選手たちに伝え続けてきたのだ。

 そんな秋田監督が守備に求めるものは、確実性である。「守備率が一番高い」からこそ、取れるアウトを確実にアウトにする。難しいプレーよりも、バント処理などのプレーを確実にやることを大切にしている。

 そのために重要なのがスローイングだと秋田監督は考える。「高校野球では送球による守備のミスが多い」と感じており、捕球によるミスはあまり気にしていない。それよりも悪送球になってしまうことを恐れている。

 だからこそ、この日はスローイングに繋がる打球への入り方を大事にしていた。「冬場で身体が大きくなって、パワーもスピードもついた。その分、勢いでプレーをしている」ように見えたからだ。

 こうした監督の細部にまで行き届いた守備への意識が、選手に浸透していることこそが、堅守の市立岐阜商を築き上げたといっても過言ではないだろう。そのために反復練習をこなし、身体に染み込ませているのだ。

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