投げる哲学者・津留崎大成(慶應・楽天3位)が語る高速変化球論
津留崎大成(慶應義塾大)
11月20日、明治神宮大会大学の部決勝戦は慶應義塾大が8対0で関西大で下し、19年ぶりの決勝進出を決めた。
東北楽天3位指名を受け、決勝戦翌日の21日に仮契約を結んだ津留崎大成(4年・慶應義塾)も神宮大会2試合に登板し、2回無失点の好リリーフを見せた。
常時140キロ後半の速球に加え、驚かさせたのは、130キロ後半のカットボール、ツーシームだ。しかもそのカットボールは打者の手元で一気に急降下。いわゆる「スラッター」のような軌道を描くこの変化球の切れ味は強烈だ。
実は高校時代からカットボールを武器にしていた津留崎。カットボール、ツーシームを投げる意識として、「ストレートの速さの95%ぐらいの速度で投げられることを意識しているので、大学からストレートも速くなったので、おのずと変化球も速くなったと考えています」
高校時代の最速は144キロ。高校3年生時にトミージョン手術を経験。大学から筋トレに目覚め、今では週6回のウエイトトレーニングを行っている。そのトレーニング内容は津留崎によるとボディービルダー用のトレーニングで、「プロ野球選手の方々が行っている体を連動させることを目的としたトレーニングは行っていません」
スクワットは180キロ、ベンチプレスは110キロを持ち上げ、肉体を強化。ストレートの球速は153キロまで速くなり、短いイニングでは140キロ後半を投げるまでに成長したのだ。その結果、速い変化球を投げるようになったのだ。速い変化球を投げる目的はもちろん打者を抑えるためだ。
「速い変化球を投げたいと思って投げているのではなく、打者を抑えるためには、なるべくストレートに近い軌道で投げる必要性があります。それを今流行りのピッチトンネルといいますが、おのずと速い変化球を投げていると思います」
目的がぶれずに投げている。また、津留崎は緩急が少ないことを自覚しており、110キロ前後のカーブも投げている。このカーブを投げる意識として、「僕の場合、緩急が少ないので、目線をずらす意味でカーブを投げています。そういうボールは磨きをかけていきたいと思います」
打者を抑えるために、立体的にピッチングを組み立てているのだ。プロではチームのためにどんなポジションでも投げたいと意気込む津留崎。即戦力で活躍するためにさらなるレベルアップを誓う。
(記事=河嶋 宗一)